[専門紙誌4社共同企画]ポストコロナ時代の地方創生 地域振興には地元企業の経営の革新が必要
観光経済新聞、塗料報知、農村ニュース、ハウジング・トリビューンの4紙誌はメディアパートナーシップを締結しました。
今後、専門ジャーナリズムである各紙誌の強みを生かし、情報発信力を強めていくとともに、さらなる紙誌面の充実を図る考えです。
活動の第一弾として共同キャンペーン「地域から元気を 地方創生が生みだす未来」を展開します。
2022年の1年間をかけ、今、各地で芽吹いている地域活性化の動きを、観光業、農業、住宅・建設業などの視点でレポートします。
「地方創生」に詳しい藻谷浩介・日本総合研究所主席研究員に「ポストコロナ時代の地方創生」をテーマに話を伺った。(取材は11月11日に実施)
──地方創生の成功事例、成功理由について。沖縄やニセコがよく例に挙がる。
地方創生の最終目的は、地域で働く若い世代を増やし、子どもの減少を食い止めることだ。そのためには、「外貨を稼ぐ」産業、たとえば集客交流関連などの売り上げを増やし、さらにその売り上げが、地域内で循環する仕組みを作らねばならない。
沖縄はかつて、「海はきれいだが、食事はおいしくない」観光地だった。しかし今では、海よりもグルメが目的の客の方が多い。県産の牛や豚のブランドが高まり、いまや畜産王国。野菜栽培も観光客向けからスタートし、最近は東京のスーパーでも沖縄県産が普通に並んでいたりする。農業者が研さんを積んで、県外に売る能力を付けたのだ。リゾートの建築も、最近できたものほど、地元産の石灰岩や赤瓦などの建材を多用している。これらの結果、沖縄では、観光客向けの売り上げの中で、本土に戻らずに県内で循環する部分が大きい。その結果、様々な産業に雇用が生まれ、若い世代の流出入はトントンを維持している。
ニセコでも、地域元々の中心産業である農業が、観光客市場もつかんで発展している。総人口も、子どもの数も増えているし、近隣の真狩などの純農村でも農業が活性化し、若い人が流入している。
そんな沖縄やニセコで感じるのは、「地元産を使う」という意識が浸透しているということだ。沖縄では、島にんじん、島らっきょう、島豆腐、島酒(泡盛)と、食材によく「島」を付ける。観光客にも出すし、多くの県民も愛好する。観光や行政の関係者には、島内産のかりゆしウェアを来ている人が多い。
こうした考えの逆が、よそから安いものを調達してコストダウンしようとか、逆に海外や国内有名産地から、一級品を持ってこようという考えだ。確かに東京であれば、地元の食材だけで料理やお菓子を作ろうと思っても作れない。だから、ほかの県や国のものを持ってくるしかない。だが全国の地域が、東京と同じことをする必要はない。
──コロナ禍や人口減少で地域での消費が細る中、「関係人口」が注目されている。
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