2022.1.31

LIXIL、高性能窓普及で脱炭素化に貢献

新築、リフォーム それぞれに新ハイブリッド窓

LIXILは、“住宅の脱炭素型への転換” に向け、開口部の性能向上を推進する。
新築住宅、既存住宅、それぞれの市場に向けてトリプルガラスを採用した新ハイブリッド窓を開発。
「窓」からの変革で脱炭素化に貢献していきたい考えだ。


「TW」の施工例。ハイブリッド窓×トリプルガラスで「 採光・眺望性」と「断熱性」の両立を図った

国は地球温暖化対策として、2050年の脱炭素化、2030年までに温室効果ガスの46%削減(2013年度比)を目指す。国の温暖化対策計画において、全部門の中で、最も高い目標が設定されているのが「家庭部門」だ。2013年度の排出実績である2.08億tから、2030年度に0.7億tへと削減する高い目標が設定された。削減率は従来目標の39%から66%へと大幅に上昇している。

しかし、「政策目標達成のために必要なZEH戸数の目安は313万戸だが、今のペースだと2030年のZEHは159万戸にとどまり、目標に対して154万戸分及ばない。2030年度目標達成のためにはZEHの普及を加速させていくことが必要」とLIXIL執行役専務Housing Technology Japan担当の吉田聡氏は指摘する。

そこでLIXILでは、住宅の高断熱化と創エネ導入を推進する商品・サービスでZEH化を後押しする。また、住まいの中でも、特に窓や玄関ドアなど開口部からの熱の流出はおよそ6割と大きく、開口部を高性能化することでCO2削減に大きく貢献できるため、2022年3月期、すべての窓シリーズの刷新を進める。将来的には、2021年3月期に74%であった住宅の高性能窓比率(熱貫流率2.33W/(㎡・K)以下の製品)を2026年3月期までに100%を目指す計画だ。

窓シリーズ刷新の第一弾は、2021年5月に発売したアルミ窓の「サーモスA」。アルミ窓で国内最高水準の断熱性能を実現した。第二弾として8月に発売したのが樹脂窓「EW」。世界100か国以上に樹脂形材を提供し、優れた設計ノウハウ、押出技術、リサイクル技術を持つ環境先進国ドイツのプロファイン社から学び共同開発した。さらに第三弾として11月に、ハイブリッド窓「サーモスⅡ-H/L」を発売。情緒的価値と、断熱性、気密性、操作性といったあらゆる機能的価値を追求した。

ハイブリッド窓とトリプルガラスを掛け合わせ

そして今回、第四弾として、2022年2月からハイブリッド窓「TW」を発売する。室外側に強度・耐久性に優れたアルミを採用することで雨、風、日差しによる劣化を防止し、室内側には断熱性に優れた樹脂を採用することで熱の出入りを抑制する。また1枚ガラスに比べて熱流出を約80%抑え圧倒的な断熱性能を誇るトリプルガラス(クリプトンガス入り)を採用した。このハイブリッド構造とトリプルガラスの掛け合わせにより、HEAT20 G2レベルにも対応する断熱性能(熱貫流率0.98W/㎡・K)だけでなく、台風や大雨に配慮した最高レベルの耐風圧性能・水密性能、加えて長期使用を考慮した高い耐久性も実現している。

シンプルさ、洗練されたデザインも追及した。フレームをスリム化しガラス面積を従来品の樹脂窓との比較で30%拡大し「パノラマウィンドウ」を実現。住宅にさりげなく溶け込み、内と外をつなぎ開放感溢れる空間を演出する。引違い4枚建には、新構造の「スレンダーマリオン」を採用。すべての縦フレームの幅を揃え、より多くの光や景色を採り入れることを可能にした。

同社常務役員 Housing Technology Japan サッシ・ドア事業部長 田村光宏氏は、「開口部を広くするほど、外の寒さ・暑さが室内に侵入しやすくなってしまう。この相反する課題をいかにクリアするか。ハイブリッド窓×トリプルガラスで『採光・眺望性』と『断熱性』の両立を図った」と話す。

また、15年ぶりとなる新色ダスクグレーを追加した。薄暮れの時間帯をコンセプトにしたごくわずかに青みを感じる低彩度のカラーで、住宅に美しく馴染む。形材のトップ層には高耐候型アクリル塗料を適用した「テクスガード」を採用。独自の分子構造や劣化防止剤により高耐候性を実現した。その他、家の建材や家電がトータルでつながる IoTホームリンク「Life Assist2」と連携。手が届かない高窓や電動シャッターも、リモコンやスマホで簡単に操作できる。なお、「TW」には、複層ガラス(アルゴンガス入り)を採用した断熱性能1.44W/㎡・Kの製品もラインアップする。

リフォーム可能な取替窓にも
トリプルガラスのハイブリッド窓

「リプラス 高断熱汎用枠」を使用したリフォーム事例のイメージ。1窓あたり約半日でリフォーム完了

また、「既存住宅」の高性能化に向けて、リフォーム可能な取替窓「リプラス 高断熱汎用枠」を新たに開発、2022年1月に発売した。トリプルガラス仕様(クリプトンガス入り)のハイブリッド窓を窓リフォーム商品にも展開。リフォーム用の窓でありながら、断熱性能1.23W/㎡・Kという欧州の新築基準レベルの断熱性能を実現する。既存のサッシ枠を生かして、室外側に化粧カバー、室内側に、アタッチ枠、新しい窓、樹脂アングルカバーを取り付けることで、壁工事・足場工事不要で、1窓あたり約半日でリフォーム完了。メーカー・シリーズを問わず、さまざまな種類の窓に対応する。

また、リフォーム玄関ドア「リシェント玄関ドア3高断熱仕様 ハイグレードモデル」も同時発売する。扉厚60㎜を確保し、内部に高性能断熱材を充填することで、シリーズ最高の断熱性能(熱貫流率 1.44W/㎡・K)を実現した。

窓改革の取り組みついて説明する会見で、吉田専務(左)と田村常務

2030年までに温室効果ガス46%削減の目標の実現のためには「新築住宅」と「既存住宅」の両方を高性能化していくことが不可欠となっている。LIXILが打ち出す開口部改革、新ハイブリッド窓に注目が集まりそうだ。