アンドパッド、データ連携のアプリマーケットを公開
経営の効率化・改善につなげDXをさらに加速
ANDPADのAPIを公開して他アプリなどとのデータ連携を実現、それをアプリマーケットを通じて提供する。
住宅・建設業のDX化が急加速するなかで、新たな取り組みがスタートした。
アンドパッドが建設業界全体のデジタル化の推進を目的に、建設DXプラットフォーム「ANDPADアプリマーケット」を公開した。業務のデジタル化により効率化を図りたい住宅・建設会社と、DXに貢献するITサービスを提供する企業や開発者をつなげるプラットフォームと位置付けられるものである。
住宅・建設業界でDXが急速に進むなか、基幹システムをはじめ、プレゼンや電子契約、調達管理、検査など、さまざまなデジタルツールが開発され、提供されるなか、進みつつあるのが、これらデジタルサービスの連携である。
それぞれの部門ごとにデジタルツールを導入することで、同じデータを違う部門でそれぞれ入力するという非効率なことが行われ、また、貴重なデータが全社的に共有しづらいという課題が出てきている。こうした状況では、DX化の次のステップとなるはずの企業経営全体の効率化や改善、売上増などに結び付けるのは難しい。
こうしたなかでデジタルツールを提供する各社が個別に連携して価値を高める動きが進んでいる。例えば、アンドパッドでもコンピュータシステム研究所と協業、「ANDPAD」と、住宅営業支援サービス「ALTA」を連携させることで、企画・設計・積算・実行予算・受発注・支払いまでの一貫した業務のDXを提案している。
「ANDPADアプリマーケット」は、こうした動きを大きく進めるものといえる。
「もっとDXを加速させられないかと検討した時、個社連携ではスピード感がない。APIを公開し一気に広げる」(経営戦略本部 アライアンス推進部・島崎健志氏)という戦略を取った。API公開によりANDPADとのサービス連携が容易になり、より簡単にサービス提供を開始することが可能になる。
また、各社各様の課題に対して、個社連携で一つひとつ対応していくことは事実上難しく、選択肢をなるべく多く提案するという狙いもある。
アプリデベから大きな注目
想定外の提案も相次ぐ
ANDPADアプリマーケットのスタートにあたり、連携したパートナー・アプリは、安心計画「カンタン見積計画」、オービックビジネスコンサルタント「勘定奉行クラウド」など12種類。今回の連携各社が提供するアプリ・ソフトは、会計や電子契約など業界を問わず事業を展開しているところが多い。こうした事業者にとっては、ANDPADをフックとして住宅・建設業界に深く入るチャンスとなる。
一方、ANDPADアプリマーケットを公開した後、数日ほどで「ANDPAD APIを利用したい」、「アプリマーケットを活用したい」といった問い合わせが10件以上寄せられて、反響は上々だ。
さらに、こうした業者のなかには、アンドパッドの想定していなかった機能の連携の提案が少なくないという。例えば、住宅・建設業界におけるかなり細かな部分に特化した、深く入り込んだソリューションを提案するプロダクトだ。これまで自社プラスアルファ程度の展開であったものを、ANDPADアプリマーケットで広く公開したいというものである。また、すでにANDPADを利用しているユーザーが、独自に他のアプリとの連携システムを開発しており、それを広く販売できないかという相談もある。
「住宅・建設業界のDXを推進するコミュニティのようなものができていくようで、面白い展開につながるのではないか」(島崎氏)と期待をかける。
一方、利用者である住宅・建設事業者からの問い合わせも届いている。もともとANDPADと連携先のプロダクトを使用しており、インフラが整っているがアプリ間のデータ連携ができていなかった事業者が多いという。「まだ、具体的なイメージが湧いていない事業者が多いのではないか。ANDPADアプリマーケットを活用して、各社各様の経営課題を解決して頂けるよう、説明内容を充実させるとともに、個別の提案ができるように体制整備も進めていきたい」(島崎氏)としている。
これまでDXツールの導入は、業務部門ごとの意思決定で済んだケースもある。しかし、データ連携となると経営層により近いところでの判断となる。ツール導入による業務ごとの合理化を超え、データ連携による経営メリットをしっかりと訴求していく必要があるということだ。
各事業者が抱える課題は千差万別であり、どのDXツールを選べばよいか悩むケースが十分に考えられる。そのためには個別提案が不可欠であり、そのための体制整備を進めていくというものである。
ANDPADアプリマーケットという場を設けず、API公開を通じた個別の連携を進めて事業者のDX化を進めるという選択肢もあったかと思われる。大々的に広く公開することをプロダクトとして行ったことは、同社が業界のプラットフォーマーになるのだという意思表示、メッセージに他ならない。住宅・建設業界のDXに、また一つ新たな流れが生まれそうだ。
アプリマーケットは
新たなフェーズに向けたの戦略
経営戦略本部
アライアンス推進部
島崎健志氏
2021年2月にアライアンス推進部を立ち上げました。目的は外部連携の推進ですが、その背景には、アンドパッドが蓄積してきたデータの活用です。累計で数百万現場で使われ、かなり施工管理に関する情報が貯まっています。これらを活用することで、もっと住宅・建設業界のDXを加速させられないかという検討をきっかけに、ANDPADアプリマーケットのプロジェクトが立ち上がりました。
ANDPADアプリマーケットは、永続的なプラットフォームとして考えています。将来的には、アップル社のアップストアのようにアプリのデベロッパーが、そこでアプリを販売できるプラットフォームにもなっていきたい。そのためのインフラ整備も行っていく予定です。
ANDPADは、ハウジングの領域ではかなりシェアも伸び、次のフェーズに入る時期を迎えています。その一つのキモが、データ連携を通じて事業者の経営に貢献することだと思っています。ANDPADアプリマーケットは、そのための重要な戦略の一つです。ANDPADとさまざまなアプリを自由に組み合わせることができるようになると、一気に住宅事業者のDXが進むことになるのではないでしょうか。
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