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2022.1.5

環境価値で蓄電池は広がるか

伊藤忠商事は、世界で初めて蓄電システムから家庭の環境価値を取り出す仕組みを構築

住まいのエネルギー対策に、いよいよ“環境価値”の視点が入ってきた。

“環境価値”とは、CO2排出削減への貢献が生む価値のこと。この価値を証書の形にして見える化したものがJクレジット、グリーン電力証書、非化石証書である。

企業はこれら“環境価値”を購入することで、環境に貢献する企業であることをアピールすることができる。“環境はコスト”と言われたのも今は昔。環境はビジネスとなり、企業の社会的役割になろうとしている。

“環境”に“価値”を見出すのは事業者ばかりではない。一般消費者もさまざまな消費行動において“環境”を尺度に動くことが増えてきた。

こうしたなかで始まったのが、自家消費における太陽光発電+蓄電池による環境価値の活用だ。商業用の太陽光発電の電力が環境価値として取り引きされてきたのに対し、これまで活用されていなかった家庭における自家消費電力にスポットを当てた。

2021年5月、伊藤忠商事が世界で初めて蓄電システムを通じて家庭の環境価値を“取り出す仕組み”を構築した。蓄電池の新製品「Smart Star3」でこの価値を取り出し、パートナー企業へ提供する。ユーザーに対して価値に応じたポイント還元を行い、買い物などに利用することができる。

オムロン ソーシャルソリューションは、太陽光発電の自家消費電力量を環境価値として収集・活用するサービス「みんなでつくるエコ活サークル」を2022年1月中旬にリリースする。J-クレジットを活用するもので同社は環境価値をとりまとめて企業に提供、ユーザーはポイントを得ることができる。

脱炭素社会の実現に向けて国を挙げた取り組みが進むが、大きな柱の一つが再生可能エネルギーの導入拡大だ。鍵となるのが太陽光発電の住宅への導入であるが、FIT買取価格の下落などから、その魅力は従来の売電から自家消費へと移りつつある。こうしたなかで蓄電池がクローズアップされ、安い深夜電力の利用などの魅力がアピールされている。

ただ、イニシャルコストがまだまだ高いのが大きなネックで、現状では太陽光発電+蓄電池を購入しても投資コストを回収できないと指摘されている。停電時に電気を使える災害対応がノンエナジーベネフィットとして打ち出されているが、裏を返せば、省エネ以外にキラーコンテンツが欲しいということである。

ここに、見える化された“環境価値”が新たに加わることになる。環境価値を企業に提供するという脱炭素への貢献、また、ポイント付与という直接的なメリットは、蓄電池導入の後押しになりそうだ。

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ハウジング・トリビューンVol.633(2022年1号)

特集:

閉塞感のその先へ

2022年の幕が上がった。
新型コロナウイルスの感染拡大は沈静化の様相を呈しているが、まだまだ予断は許さない。
脱炭素社会実現に向けた具体的な動きはいよいよ本格化する。
風水害をはじめとする自然災害対策は待ったなしだ。
社会環境の変化のなかで地方活性化の取り組みも活発化し始めている。
2022年は住宅産業のなかでどんなマーケットが拡大し、ビジネスチャンスとなるのか──。

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