2021.12.21

パナソニック ホームズ、全館空調の健康効果で実証研究

血圧の低減、睡眠の質向上などの効果を確認

パナソニック ホームズは、全館空調が健康に与える効果の実証研究を行った。血圧の低減や睡眠の質の向上、肺機能低下の抑制効果などを確認。同社の全館空調の改良などに生かしたい考えだ。


パナソニック ホームズは全館空調(同社のエアロハス)が温熱環境と、空気環境において居住者の健康に与える影響を検証するため、実証研究を行った。

温熱環境の実証研究については、慶應義塾大学の伊香賀教授の協力を得て実施。全館空調を導入したZEHと、個別空調を導入したZEHの居住者の健康状態を比較した。東北から九州までの地域に住む世帯(冬季14世帯27名、夏季12世帯29名)を対象とし、実証実験期間は2020年7月~2021年2月のうち任意の10日間。

結果、全館空調群の各室の冬季の平均室温は、個別空調群に対して4.9℃~8.4℃高く、WHOの「住宅と健康ガイドライン」で勧告されている最低室温18℃以上を全室で満たし、高温入浴などの危険入浴リスクの低減に有効とされる室内環境が維持できていることが確認できた。また、冬季において全館空調群は個別空調群に比べ、起床時最高血圧が4.1mmHg低く、入浴前の血圧上昇値も2.1mmHg低いことが確認できた。

住宅用全館空調システム・HEPA フィルター搭載住宅のイメージ

夏季の居住者の睡眠の質に関しても検証した。全館空調群は個別空調群に比べ、寝室の入床時平均温度は0.6℃低く、平均相対湿度は13%低い結果が得られた。また、全館空調群は個別空調群と比較して、入眠までの時間は0.6倍に短縮、睡眠効率は1.09倍高いことが示され、睡眠の質の向上が期待できることが分かった。

空調方式別の睡眠効果

今回の実証研究では、全館空調「エアロハス」に搭載している空気清浄フィルター「HEPAフィルター」が健康に与える影響も慶應義塾大学の井上教授と共同で検証した。試験期間は2015年10月~2021年7月。サンプルは全館空調「エアロハス」を搭載した住宅の居住者5世帯7名、開始時の平均年齢は50.71歳。

検証の結果、被験者の住宅では居住6年後の2021年でもPM2.5は外気と比べて8割程度低く抑えられていることが分かった。そのうえで、PM2.5の影響を受けやすいとされるFVC(最大限息を吸った後にできる限り一気に吐き出した空気の量)は加齢による低下が通常より約8割、FEV1(FVCの最初の1秒間で吐き出した空気の量)は約5割抑えられている結果が得られた。また、肺年齢(性別、年齢、身長、FVC、FEV1から計算される呼吸機能の目安)の加齢による低下量も、通常よりも約5割抑えられている傾向が見られ、HEPAフィルター搭載の換気システムを備えた住宅は居住者の肺機能などの健康状態に良い影響を与える可能性が示唆された。

パナソニック ホームズでは、実証実験の結果をさらに深堀りしていきたい考えだ。「全館空調による温熱環境の改善が、循環器疾患の予防になる可能性などを研究していきたい」(R&Dセンター 環境技術研究室 梅本大輔室長)としている。また、エアロハスの改良なども行っていきたい考えで、センサーと連動させることで、個人に合わせてより質の高い睡眠が得られるような制御の仕組みの構築などを検討している。