2021.12.2

リンナイ、ハイブリッド給湯器「エコワン」を30年に30万台販売へ

カーボンニュートラルへ企業方針を策定

 

リンナイは2050年のカーボンニュートラルに向けた企業方針を策定、公表した。
脱炭素ガスや水素の給湯機開発で2050年に商品使用時CO2排出量ゼロを目指す。


リンナイは2050年のカーボンニュートラルに向けた企業方針「リンナイグループのカーボンニュートラル実現に向けて」を策定、公表した。

リンナイによると、日本全体のCO2排出量のうち、同社の給湯・暖房・厨房商品の商品使用時のCO2排出量が占める割合は約1.5%(約1680万トン)もある。この数字について、リンナイの内藤弘康社長は「非常に大きな割合だと認識。弊社のCO2削減の取り組みは、日本のカーボンニュートラルの実現を目指すうえで、社会的に大きな役割を果たすと考えている」とし、2050年のカーボンニュートラルを目指し、企業方針「リンナイグループのカーボンニュートラル実現に向けて」を策定、公表した。

このなかで、「事業活動」と、「商品使用時」のそれぞれで、2030年、2050年のCO2排出量の目標を策定。

事業活動については、国内においてCO2排出量を2020年の3万トンから1.5万トンに、海外において10万トンから5万トンにそれぞれ半減し、さらに2050年にはゼロにする。

商品使用時のCO2排出量削減に向けたエネルギー構成イメージ

商品使用時については、国内においてCO2排出量を2020年の1680万トンから1260万トンに削減、さらに2050年にはゼロにする。

一方、海外については、「今後さらなる海外展開を図るため、当面はCO2排出量を削減することが難しくなる可能性が高い」(内藤社長)とし、CO2排出量の2030年の目標は定めないが、それでも、2020年時点の4500万トンを2050年には最終的にはゼロとする方針だ。

事業活動と商品使用時のCO2排出量の数値を比べると、圧倒的に商品使用時の数値が多い。こうしたことから、「いかに商品使用時のCO2排出量を削減していけるかが重要」と、内藤社長は話す。

ガスルートを通じエコワンを拡販
エコジョーズのデファクトスタンダード化へ

商品使用時のCO2排出量を削減するための具体的な施策として、まず2030年に向け、従来から活動を進めている高効率給湯器「エコジョーズ」や、従来型給湯器に比べCO2排出量を約50%削減するハイブリッド給湯・暖房システム「ECO ONE(エコワン)」の普及拡大を加速させる。「ECO ONE」については、販売台数を現在の年間1万台強から2030年に年間30万台に高める目標を設定した。

「非常に高い目標だが、50年のカーボンニュートラルを見据えれば、このくらいしないと達成は難しい」と、内藤社長は意気込む。

この目標達成に向け、都市ガス会社やプロパンガス会社などのガスルートを通じた販売の拡充を目指す。エコワンはガスだけでなく、電気もエネルギー源として利用する。このため、家庭へのエコワンの導入量が増えると、ガスの利用量が減る。こうしたことから、これまでガス会社はエコワンの販売に積極的ではなかった。しかし、社会的に脱炭素の取り組みが迫られるなかで、大手ガス会社を中心にガスの供給量が落ちても、CO2排出量の削減を進めていく機運が高まり、CO2を大きく削減できるエコワンの取り扱いに積極的になってきているという。こうしたことから、内藤社長は「今後、販売台数が伸びる可能性がある。この機運に乗っていきたい」と期待する。またテレビCMの放映もより積極的に行い、一般消費者へのアピールにもより一層力を入れていきたい考えだ。

一方で、エコジョーズについては、業界を挙げてデファクトスタンダード化に向けて取り組んできたが、これまでなかなか普及してこなかったというのが実情。「高価格帯商品の販売は好調だが、給湯単機能商品での普及が難しい。エコジョーズの普及は個社では難しい部分もあり、業界を挙げ、国への働きかけなども行いながら、デファクトスタンダード化の実現に向けて一層の取り組みを行っていきたい」(同)としている。

50年脱炭素化へ
メタネーションなどの新技術も

2050年をターゲットとする「脱炭素」に向けては、海外では再生可能エネルギーを使用しやすい電気をエネルギー源としたヒートポンプ給湯器の販売にも注力する。また、メタネーションやプロパネーションといったCO2を出さない新たな脱炭素ガス技術をエネルギー源とした機器の開発・販売や、水素をエネルギー源とした給湯器の開発・販売にも取り組む。その結果、2050年には脱炭素ガス機器が約3割、ヒートポンプ給湯器などの電気機器が3割、水素燃焼機器が3割といった割合で商品の供給を行い、従来型のガス給湯器の販売に置き換えることでカーボンニュートラルを目指す。

リンナイはカーボンニュートラルに向けたこれらの取り組みを行うため、今後5年間で500億円以上の投資を行う予定だ。「イノベーションセンター」の拡張、水素燃焼機器・ヒートポンプ機器などの次世代機器の開発に300億円以上、再エネ設備や非化石燃料設備への切り換え、グリーン電力への切り替えに150億円以上、日本でのエコワンの販売促進、海外での省エネ給湯機器の普及促進に50億円以上をかける方針だ。