2021.12.7

三栄建築設計 業界初、火打ちレス金物を一般販売

開放的な吹き抜け空間を実現

メルディアグループの三栄建築設計は、業界初となる火打ちレス金物を金物メーカーのタツミと共同開発した。火打ち材(斜め材)を露出せずに水平耐力を確保でき、構造計算なしで開放的な吹き抜け空間を実現できる。一般販売を開始し、これまでにない価値を広く訴求し、普及拡大を目指す。


吹き抜け空間に火打ち材は必須だが、限られた空間を圧迫し、評判は悪い(画像左)。火打ちレス金物を使用することですっきりした吹き抜け空間を実現できる(画像右)

地価の高騰により土地は細分化され、特に都市部では狭小木造住宅の供給は年々、増えている。その狭小木造地住宅において、重要な役割を果たすのが吹き抜け空間だ。限られた敷地の中で最大限の空間と採光を確保できる。エンドユーザーの購買意欲を高めるために必要不可欠なものになっている。しかし、構造計算を省略して吹き抜け空間をつくる場合、水平構面の強度を確保するため、火打ち材(斜め材)を設置することが求められる。建築基準法の仕様規定として建物の四隅に火打ち材を設置することが義務付けられているほか、室内空間においても、設計者の判断で、より安全側の設計に配慮して、火打ち材を設置することは当たり前のことになっている。

とはいえ、限られた空間を圧迫し、採光を遮り、ほこりだまりにもなりやすい。施主にとっては、なくしてほしいものの最たるもので、評判は悪い。

同社の技術生産本部 構造設計課の木原理志 課長代理は、「我々、住宅事業者にとっては、火打ち材を設置することは常識でも、お客様にとっては常識ではない。分譲住宅にせよ、注文住宅にせよ、検討の段階で、吹き抜け空間に火打ち材が露出することを知ると『えっ』と驚かれる方、残念がる方が多い。そうしたネガティブな想いは一生残る。気にされる方がいるのであれば、何とか解消することはできないかと研究開発に取り組んできた」と話す。

2019年にプロトタイプを開発
グッドデザイン賞を受賞

こうした課題を踏まえ、2019年に、開放的な吹き抜け空間を実現する火打ちレス金物のプロトタイプを金物メーカーのタツミと共同開発した。

火打ちレス金物の施工イメージ。吹き抜け空間によっては片面だけの施工でOK

梁をプレート金物で挟み込み、さらに外付けホールダウン金物などで強度を強化することで、従来の火打ち材を上回る強度を確保できることを確認。火打ち材なしで、吹き抜け空間を実現できるようにした。ただし、構造計算なしの場合、建築基準法の仕様規定により、建物の四隅に火打ち材を設置することは必須のままとなる。

また、この商品は、2019年のグッドデザイン賞を受賞。プレート金物がすっきりとした吹き抜け空間のデザインに寄与するという「黒子」の役割が評価された。

大幅な軽量化で施工性向上
片面のみの施工でもOK


この記事は会員限定記事です。
無料会員になると続きをお読みいただけます。

アカウントをお持ちの方

ご登録いただいた文字列と異なったパスワードが連続で入力された場合、一定時間ログインやご登録の操作ができなくなります。時間をおいて再度お試しください。