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2021.12.1

ポラスグループ ポラス暮し科学研究所とBXカネシン、最大8mのスパンを実現する金物を共同開発

平屋の商業施設・倉庫などの木造化を促す

ポラスグループ ポラス暮し科学研究所とBXカネシンはブレース受け金物「MPブレースシート」を共同開発した。高強度な水平構面を構成、木造で最大スパン8mを実現する。


ポラスグループのポラス暮し科学研究所とBXカネシンは「MPブレースシート」を共同開発した。これまで鉄骨造が採用されることが多かった大スパンが求められる店舗や倉庫などの木造化を促す。

国をあげて木材利用の促進が進められるなか、中大規模木造建築が大きな注目を集めている。しかし、従来、木造軸組構法によって柱が少ない大空間を実現しようとするとコストや設計、施工の課題があった。そのため、一般流通材を使用する木造は大空間をそれほど必要としない幼稚園・保育園、福祉施設・医療施設などで多く採用されてきたものの、商業施設や倉庫などでの採用は難しかった。

一方、大空間を実現するために大断面集成材を使用するとコストアップにつながることから、これまで店舗や倉庫ではコスト、設計、施工でメリットのある鉄骨造で建てられるケースが多かった。

ポラス暮し科学研究所のデータによると、建物の外形が24m×48mの平屋店舗建設時のコストは、鉄骨造を1とすると木造軸組構法は0.88と、コストは安いが大空間が難しい。大断面集成材を使うと、大空間は実現できるが、コストは1.51と高くなる。これは部材単価が高いこと、水平構面(合板)を支える梁も必要で部材点数が増えること、設計・施工に手間がかかることなどが理由だ。

コストと大空間を両立
最大床倍率は18.8倍

「MPブレースシート」は、この在来軸組のコスト、大断面集成材の大空間という両方のメリットを両立することを狙った。

MPブレースシートの使用時のイメージ

開発にあたっては木造軸組構法の水平構面に着目、梁や合板による構成を高強度のM18鉄筋ブレースに置き換えることで、木造でも鉄骨造のようなシンプルな構造で大空間を実現する。「MPブレースシート」は鉄筋ブレースを留めつけ、高強度な水平構面を構成する金物だ。

合板を使用しない高耐力の構面を高強度のブレースで実現することで大断面梁を削減、部材数が少ないシンプルな構造を可能にする。ボルトとビスで構成するため特殊な施工技術が不要で大工職人でも簡単に施工できる。また、一つのグリッドが決まっており、規格化したことでコストが分かりやすい。「木造による平屋商業施設の標準化」(ポラス暮し科学研究所 構造G・照井清貴グループ長)を実現したといえる。そのコストは、鉄骨造を1とした場合0.86と、在来軸組と同等以下を実現する。

MP ブレースシートについて説明するポラス暮し科学研究所 構造G・照井清貴氏( 右)BXカネシン 特需営業部 MP 課・村西大介氏(左)

スパンは1820〜8000mm(形状比1.1〜1.2)と最大8mの大スパン構面まで実現することができる。

4m×4mで使用した場合の床倍率は3.4倍と、従来の構造用合板24mm直貼り(4周釘打ち)の3倍を超える。さらに「MPブレースシート」を上下二段使いすることで床倍率は倍になる。例えば、8m×8mで使用した場合の床倍率は1.2倍だが、上下二段使いすることで2.4倍となる。最大床倍率は1.82m×1.82mの二段使いで18.8倍を実現する。

ポラスグループは、「MPブレースシート」を組み込んだ中大規模建築の請負受注とプレカット部材の受注を進め、平屋建ての商業施設や倉庫などの鉄骨造から木造への切り替えを促す。
一方で、BXカネシンを通じてオープンに販売もする。価格は1セット(1構面分、MPブレースシート×4個、ビス×120本)で6万8000円。

「MPブレースシート」の提案にあたり、鉄骨造設計者にも木造設計に取り組みやすい計算方法を整備した。鉄骨造と同様に、接合部で降伏せず鉄筋ブレースで降伏する設計、床倍率換算だけでなく鉄筋ブレースのままにモデル化できるため汎用解析プログラムでの検討が容易といった点だ。
また、マニュアル、構造標準図、設計ツール、積算ツールといった設計支援ツールをBXカネシンのホームページで提供している。

BXカネシンは木造大スパン構面の標準化を提案、鉄骨造から木造への切り替えを促進するとともに、木造建築金物の新たな市場開拓を進める。初年度の販売目標は30棟だ。

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ハウジング・トリビューンVol.634(2022年2号)

特集:

進化する「wallstat」が木造住宅づくりを変える

地震大国といわれる日本において、住宅の地震対策は欠かすことができない。また、遠くない将来に必ず起こるといわれる南海トラフ地震と首都直下型地震などの巨大地震に備え、住宅には、より高いレベルの耐震性能が求められている。こうした中で近年、存在感を高めているのが、木造住宅の耐震シミュレーションソフト「wallstat(ウォールスタット)」だ。木造住宅を3次元的にモデル化し、過去に起きた地震や想定される巨大地震など様々な地震動のデータを入力することで、木造住宅の地震による揺れを動画で解析し構造プランを強化できる。

耐震性能の可視化により、エンドユーザーに対しても説得力を持って高耐震住宅の重要性をアピールしやすくなるため、wallstatを活用して、建てる前に住宅を揺らし、壊し、シミュレーションを行い、より耐震性の高い、安全性を高めた住まいを実現し、普及を目指す住宅事業者も増えてきている。

2022年1月には、wallstatのバージョンアップにより、耐震シミュレーション機能が強化された。ユーザーの声を反映し、計算時間を約2分と、従来の10分の1に短縮。より使いやすいものへと進化している。wallstatで耐震シミュレーションをすることがあたり前という時代になっていきそうだ。

併せてwallstatに組み込みシミュレーションできる建材、連携できるソフトウェアも紹介する。

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