ウイング、2×4工法の国産材化を推進
小さなサプライチェーンで持続可能な地域を全国に
ウイングは2×4工法の強みを生かして国産材化を推進する取り組みを強化する。
同社の橋本宰常務は、「日本の豊富な森林資源を有効活用し、地方創生を進めていくためには、ブラウンフィールド型開発(今あるものを生かした)により、川上から川下までの事業者が連携し、小さなサプライチェーンを実現できるかが鍵になる」と話す。
10年前から国産材化を推進
技術開発で2×4の可能性拡大
利用期を迎えた国内の森林資源の活用、脱炭素化、SDGsといった観点から、木材利用、木造建築推進の機運が高まっている。こうした中で、2×4建築のコンポーネント事業を展開するウイング(倉田俊行社長、東京都千代田区)は約10年前から、国産材利用の拡大に向けた取り組みを強化する。
約40年前に北米から日本に輸入され、オープン化された2×4工法は、北米の樹種(SPF材)の使用を想定して規格が整備されているため、これまで国産材が使用しにくい面があることは否めなかった。従来のJAS基準では、スギなどの国産材各樹種は、従来の樹種群に割り振られ、適正な強度運用が叶わない状況にあった。
そのため設計する上でも不利であり、また、圧倒的な資源量を背景に、SPF材の方が価格面でも安く、太刀打ちできなかった。
こうした状況に大きな変化が起きたのは、2015年のJAS基準の改正だ。国産材のスギ、ヒノキ、カラマツについて新区分が追加され、本来の実力に近い形で評価され、SPF材との強度の差が縮まった。こうした追い風を受けて、ウイングは、2×4工法の国産材化を推進し技術開発で2×4工法の可能性拡大を目指す。
設計段階から工夫し
材料にプランを合わせる
川上の製材工場、川下の住宅会社などの協力を得て、国産2×4材を使用した住宅、非住宅の建築事例の実績も増えてきている。2×4建築の国産材化を進める上でポイントとなるのは、プランニングの段階から、国産材利用を想定して図面を書くことだ。ウイングの橋本常務は、「市場で流通する原木は、長さは3m、4mのものが主流で、製材品も3m、4mのものが手に入りやすい。通常のプランのままでは、スパンを飛ばすため、横架材として3m、4m以上の長尺の材料が欲しくなるが、手に入りにくく、コストアップにつながる。国産材をより多く使用するためには、まずは市場に流通する長さ3m、4mのものを使用したプランを書くことが重要になる。一方で長尺の材料が手に入らないと言って止まっていては、いつまでたっても前に進めない。スタッド(縦枠材)として2×4材、2×6材を使用するほか、これまであまり使用されてこなかった2×8材、2×10材を用意し、横架材などとして工夫して使用することもポイントになる」と説明する。
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