ダイドーハント、リハビリ施設に狭小耐力壁が採用
無垢材のラーメン構造と併用で大空間を実現
ダイドーハント(大阪府吹田市)が展開する狭小耐力壁「フロッキン狭小壁」が、岐阜県で建設中のリハビリ施設に採用された。無垢材を使用したラーメン構造との併用で、開放的な大空間を確保できることが決め手となった。
岐阜羽島駅前で建設中の鉄骨造の診療所(延べ床面積503㎡)に併設される、平屋木造のリハビリ施設(延べ床面積129㎡)に、ダイドーハントの狭小壁「フロッキン狭小壁」が採用された。
施主から「診療所に併設するリハビリ施設には、リラックス効果が期待できる木を使用したい」という要望を受けて、設計を担当するユアサ商事は、当初、診療所もリハビリ施設も鉄骨造で建設し、リハビリ施設のみ内装を木質化する計画であったが、ライン工業(岐阜県可児市)が開発した独自のラーメン構造「囲柱ラーメン木構造」の存在を知り、リハビリ施設は木造で建設するように方針転換を図った。
木造建築において、梁方向のスパンを確保するために使用されるラーメン構造だが、そのほとんどは、集成材などのエンジニアリングウッドが使用されている。対して「囲柱ラーメン木構造」は無垢材を用いていることが特長だ。木材のトレーサビリティを証明しやすく、岐阜県が実施する、建築物への地域材利用を促す補助制度を活用しやすいことが、木造へ切り替える要因の一つとなった。
しかし、リハビリ施設の正面側に「囲柱ラーメン木構造」を使用して8mの間口を確保することはできたが、道路側に面する、奥行15mの壁をどのように構成するかが問題となった。リハビリ施設は階高が3.5mあり、「囲柱ラーメン木構造」を2方向ラーメンで使用できる適用範囲は階高3mまでであり道路側に採用することはできなかった。また、一般的な在来軸組工法の柱芯910mm巾、最大壁倍率5倍の耐力壁を用いると、開口部が狭くなり封鎖的な空間になるほか、特殊建築物には必須となる排煙設備を設置することも難しかった。
こうした中で、白羽の矢が立ったのが、ダイドーハントの「フロッキン狭小壁」であった。柱頭と柱脚に専用の粘り強い金物を使い、ビスの配置などを工夫することで、柱芯350mm巾で開口部を大きく確保しながら、壁倍率7倍相当の高耐力を確保できる。さまざまなパターンの納まりで試験を行っているため確認申請もスムーズに行える。また、「囲柱ラーメン木構造」と在来軸組工法の柱、梁などの取り合い部には、特注金物が必要となるため、将来的には、特注金物の製作、構造計算も担っていきたい考えだ。
「市場拡大の期待が膨らむ非住宅木造市場だが、何から手を付けていいかわからない事業者は多い。『囲柱ラーメン木構造』と『フロッキン狭小壁』を併用することで実現できる大空間で差別化が図れる。非住宅木造への取り組みを強化するプレカット工場や住宅事業者などへ提案を強化していきたい」(同社)考えだ。
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