2021.7.27

ミサワホーム、2030年に向けた実証住宅を建設

住宅で社会課題の解決を目指す

ミサワホームは2030年に向けたコンセプト住宅を発表した。同住宅に研究開発中の先進技術を導入し実証実験を行うことで、脱炭素、災害対策、新たな生活様式などの社会課題に対応した住宅開発を加速させる。


近年、様々な面で社会環境が大きく変化し、対応が迫られている。

温暖化による気候変動で災害が頻発化・激甚化し、我々の暮らしに大きな被害をもたらしており、これに対してレジリエンスの強化や脱炭素の取り組みが求められている。また、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大への対策として、オンラインでのコミュニケーションや抗ウイルス、さらなる健康への配慮などが求められてきている。

今、突きつけられている社会課題に対応していくうえで、暮らしの大きな部分を占める住宅に求められる役割は大きい。

ミサワホームのコンセプト住宅「グリーン・インフラストラクチャー・モデル」

こうしたことから、ミサワホームは脱炭素、災害対策、新たな生活様式などの社会課題に対応した住宅を、同社が中長期的に目指す“2030年の住まい”とし、この実現に向け、今回、コンセプト住宅「グリーン・インフラストラクチャー・モデル」を住まいづくりの体感施設「ミサワパーク東京」(東京都杉並区⾼井⼾)に建設した。

涼風制御システムや雨水タンクを導入

コンセプト住宅には、研究開発中の先進技術を導入し実証実験を行うことで、“2030年の住まい”の実現に取り組む。
「脱炭素」では、屋根・外構に設置した太陽電池、燃料電池、蓄電池による全負荷型3電池連携システムを導入することで、再⽣可能エネルギーの⾃家消費率を向上。加えて、⾬⽔を流すことで打ち⽔効果が⽣まれるドリップルーバーで冷やされた涼⾵を室内に取り込みつつ、⾼窓やシーリングファンなどを連携させ温かい空気を⾃動で換気する「涼⾵制御システム」を導入し、同システムの技術の確立を目指す。
「災害対策」では、先述の3電池連携システムで、停電時の電力を確保するとともに、水害への対応として防⽔ボードや⾬⽔を活⽤する⾬⽔タンクを導入。タンクの⽔は、⾮常時には夫婦2⼈分で最⼤約8⽇分もの⽣活⽤⽔を確保できるが、内水氾濫対策としても期待しており、その効果などを検証する。

ABW設計の在宅ワーク空間やドローンポートロボットも検証

「新たな生活様式」への対応では、様々な提案を盛り込んだ。

AI スピーカーやセンサーと連携したシーン制御の仕組みを導入し、リラックスタイムや睡眠中、起床時など、状況に合わせてベッドの⾓度や照明、加湿器、ロールスクリーンなどを⾃動制御できるシステムの検証を行う

1階には、仕事内容に応じて最適なワークプレイスを選ぶことができる「ABW(Activity Based Working)設計」を導入。加えて、緑化や⾳などの要素を⾃然環境に近づけて設計する「バイオフィリックデザイン」を採用し、ストレス軽減や⽣産性の向上の効果を検証する。

スマートフォンの操作により荷物を⾃動で運搬する「収納⽀援ロボット」も検証

ウイルス対策として、⽞関には⾮接触の⾃動ドアやタッチレス⽔栓を設けたクリーンクロークを導入。帰宅時、抗菌・抗ウイルス照明によって靴やコートを、紫外線照射によってスマートフォンを除菌できる仕組みの構築を目指す。

コロナ禍で需要が高まる宅配への対応として、「ドローンポートロボット」も導入し、その仕組みの構築を目指す。これは普段は屋根下の待機場所におり、荷物が到着する際に庭の受取場所に自動で移動し、受け取り後は所定の位置まで戻るといったものだ。

また、コロナ禍で家で過ごす時間が増え、家でのより快適で健康な暮らしが求められることから、洗面空間には健康に⼼地よく過ごせる居場所として「ウォーターリビング」を導入。壁⾯全体を情報ミラーとした洗⾯台には、寝室で測定した睡眠スコアや、床⾯と⼀体になった体組成計との連携機能、体温測定機能などにより、⽇常的に健康管理を⾏える仕組みの構築を目指す。

睡眠でも最新技術の導入で健康な暮らしの実現を目指す。AIスピーカーやセンサーと連携したシーン制御の仕組みを導入し、リラックスタイムや睡眠中、起床時など、状況に合わせてベッドの⾓度や照明、加湿器、ロールスクリーンなどを⾃動制御できるシステムの検証を行う。超指向性スピーカーを採⽤し、起床する時間が異なる場合でも、⼀⽅のアラームによって隣で寝ている相⼿を起こしてしまうことを防げるようにする。また、睡眠中の⼼拍や呼吸、体動を⾃動測定した睡眠スコアを、洗⾯台の情報ミラーに表⽰し、⽇常⽣活から健康管理できる仕組みの構築を目指す。

コロナ禍で需要が高まる宅配への対応として、「ドローンポートロボット」を導入

この他、スマートフォンの操作により荷物を⾃動で運搬する「収納⽀援ロボット」の検証も行う。宅配BOXで受け取った荷物を「蔵」に運んで保管したり、指定した荷物を「蔵」の外まで運び出したりするなど、さまざまな作業を⽀援できるようにする。

ミサワホームはコンセプト住宅で実証実験する提案については、「技術の確立や効果が検証され次第、実際の住宅に導入していきたい」(作尾徹也 取締役専務執行役員)考えだ。例えば、「『涼⾵制御システム』やABW設計を導入したワークプレイス空間などはすでにある程度技術が構築されている」(石塚禎幸 商品開発部長)としており、近いうちに戸建住宅などへの導入も検討していく。

Housing Tribune最新刊

住宅産業総合誌「ハウジング・トリビューン」は隔週金曜日発売。年間購読者には電子版News Report「Housing Tribune Weekly」を配信しています。

ハウジング・トリビューンVol.626(2021年17号)

特集:

木促法改正で市場拡大に期待

利用期を迎えた国内の森林資源の活用、また、SDGs、脱炭素化といった観点から、木造建築推進の機運が高まっている。
2021年6月には、公共建築物木造利用促進法(木促法)が改正され、脱炭素社会の実現に向けて、一般建築も含めて、木造化を推進していく方針が打ち出された。
市場拡大への期待が高まる中で、事業者の動き、木造建築を建てやすくする技術開発が加速する。
中大規模木造市場攻略のポイントはどこにあるのだろうか。

目次を見る

関連記事