2021.7.13

三菱地所、グループのデジタルビジョンを策定

共通認証IDで行政と生活サービス連携も

三菱地所は、DXにより生活者が暮らしやすさを実感できる新しいまちづくりを目指す「三菱地所デジタルビジョン」を策定した。拠点データを活用しながら、安全・安心で快適なまちづくり、住まいづくりなどを目指す。


同社はグループ全体としての2030年までの長期経営計画を策定。2300億円超の事業利益を2030年に最大4000億円にまで引き上げる目標を掲げている。国内アセット、海外アセット、ノンアセット、それぞれで500億円の成長を目指している。

三菱地所デジタルビジョンの概念図

それぞれ成長戦略として、国内アセットでは、①丸の内NEXTステージの推進 ②開発プロジェクトの推進によるNOIの増加 ③不動産市況に応じた回転型事業の推進 ④住宅事業における利益構成の最適化──の4つ。海外アセットでは、①アジアにおける開発事業の拡大 ②欧州における開発事業の強化と収益基盤の拡充 ③米国における回転型事業の更なる強化と多様化──の3つ。ノンアセットでは ①既存領域における着実な利益成長 ②テクノロジーを活用した新たな取り組み ③B to C/B to B to Cに着目したサービス・コンテンツの提供──の3つを掲げている。同ビジョンは、ノンアセットを成長させるための、デジタル分野での方向性を示したものだ。

同社は、同ビジョンが目指すものとして、①オン・オフラインを自由に行き来する体験の提供を通じ、真に社会や個人の課題に寄り添う ②事業横断的なデータや好意的に提供される個人のデータの分析・活用により、体験がアップデートされ続ける ③まちの関係者とオープンにつながるエコシステムを構築、多様なプレイヤー参加と協創を促進──の3つを挙げる。

具体的な取り組みの1つが、昨年10月に開発した共通認証ID「Machi Pass」だ、利用者は、まちで展開される複数のオンラインサービスや、来場予約・リアルな空間への入退室などオン・オフラインの体験を一つのIDで利用できる。他にも、施設やサービスの利用履歴や位置情報などのデータに基づいた、より一人ひとりに最適化された体験の提供を受けることもできる。既に、丸の内エリアで働くオフィスワーカー向けウェブサービスなどに採用されている。

同社は、宮城県の「泉パークタウン」などで住宅中心のタウンマネジメントも展開している。例えば、マンションやニュータウンなど住まいと暮らしにまつわる取り組みとして、「Machi Pass」と行政システムを連携させ、施設予約管理などの行政サービスをデジタルで受けることができる。また、同時に民間事業者とも連携し、例えば、同社グループの管理会社のサービスだけでなく、他事業者と連携してスマートホームサービス、家事代行をはじめとした生活サービスなどが「Machi Pass」1つで受けることができる。

既にID認証を使ったサービスは様々なところで存在するが、利用者は、その都度、個人情報を登録するため、情報が散在している。共通認証IDとすることで、こうした課題は解消される。「Machi Pass」では拠点データを活用するため、様々な情報連携が進むだけ、利用者の利便性や体験価値が高まることになる。同社は、デジタル関連にグループ全体で今期250億円計上。大野郁夫執行役常務は「今後も同水準での投資を続けていきたい」と強調する。

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特集:

木促法改正で市場拡大に期待

利用期を迎えた国内の森林資源の活用、また、SDGs、脱炭素化といった観点から、木造建築推進の機運が高まっている。
2021年6月には、公共建築物木造利用促進法(木促法)が改正され、脱炭素社会の実現に向けて、一般建築も含めて、木造化を推進していく方針が打ち出された。
市場拡大への期待が高まる中で、事業者の動き、木造建築を建てやすくする技術開発が加速する。
中大規模木造市場攻略のポイントはどこにあるのだろうか。

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