2021.7.12

ポラス、学生・建築デザインコンペティションを開催

最優秀賞は工学院大学大学院の学生ら4人の共作に

ポラスは「第8回POLUS―ポラス―学生・建築デザインコンペティション」を開催した。最優秀賞には工学院大学大学院の黒田直幹さんら4人の共作「町の遊牧民」が選ばれた。

第8回学生・建築デザインコンペティションの2次審査に参加した学生と審査員

このコンペは、建築の道を志す学生の自由で新鮮な発想を表現・公表する機会を設け、将来活躍が期待される学生を応援し、ひいては建築業界の発展に貢献できればとの思いから、創業45周年を迎えた2014年から開始。今回で8回目となった。

8回目のテーマは「リモートスタイルハウス」。コロナ禍で、人の暮らしなどはリモートスタイルに変化している。こうした中で、住宅と街の新たなあり方や住宅地のコミュニティースペース、住宅同士の関係などを意識し、テーマを設定した。今回の応募作品点数は前年比約2割増の557点。書類による一次審査を通過した5作品が6月23日に埼玉県さいたま市で行われた第2次審査で最優秀賞を競った。審査員は5人。審査委員長は西沢立衛氏(横浜国立大学大学院建築都市スクールY-GSA教授)が務めた。審査委員は今井公太郎氏(東京大学生産技術研究所教授)、原田真宏氏(芝浦工業大学教授)、中川エリカ氏(中川エリカ建築設計事務所)、野村壮一郎氏(ポラスグループ)。

今回も前回に引き続き、リモートで学生それぞれが作品の特徴や想い、狙いなどを説明した。最優秀賞に選ばれた「街の遊牧民」は、コロナ禍で多くの人が家や周辺で長い時間過ごすようになり、これまで自宅と会社・学校の往復で見逃されてきた人が暮らす街の隙間空間を1つの部屋と考え、その空間を山羊と暮らして活用するというもの。例えば、空き地や公共の未整備空間、河原などでは雑草問題がある。作品では、こうした空間を、山羊に草を食べさせ除草する代わりに所有者から土地を借りて、仕事場やコミュニティースペースとして活用するなどの提案をした。審査委員は「建築を超え、暮らしを提案していることに好感を持てた」と講評した。作品は工学院大学大学院の黒田尚幹さん、除村高弘さん、工学院大学の遠山亮介さん、新美志織さんの4人で手掛けた。「4人の想像力を働かせて最後まで楽しくできた」と受賞を喜びながら、「これからの設計に生かしていきたい」と将来を力強く見据えた。

優秀賞には名古屋工業大学大学院の田上功也さんと藤田倫也さんの共作「歩く、暮らす、歩く、はたらく」が選ばれた。近畿大学大学院の三谷啓人さん、岩間創吉さんの共作「折り重なる内外空間」と、京都工芸繊維大学の守本愛弓さんの「小さく囲われ大きく囲む63卓の庭」、早稲田大学大学院の張訳夫さんの「時間×空間×隙間」はそれぞれ入選した。

西沢氏は講評で「ステイホームで、家の中が豊かになるというよりは、人間の暮らしへの広がりが感じられる、人間の生き方を魅力的に描いている案を推した」と話した。また、このコンペの2次審査では、学生のプレゼンテーションの他、図面でイメージした案を具体化した模型の出来栄えなども評価要素の大きな1つになっている。オンラインを使って遠隔でのコミュニケーションを図る時代の中で、西沢氏は「模型の力を大きく感じた」と強調した。