2021.7.20

ランディ、テクノロジーで注文住宅用地探しをサポート

住宅展示場向けのFC展開も

ランディ(東京都中央区、衣笠茂樹代表取締役社長)は、注文住宅に特化した土地探しシステム「ランディ」を活用したサービス展開を強化する。住宅展示場向けに共同事業で「ランディカウンター」を運営するほか、住宅展示場運営会社向けのFC加盟店の募集を開始した。土地探しからワンストップで対応できる住宅づくりの普及を目指す。

「ランディ」の操作画面。売土地情報を示す数字のピンをクリックすると、土地と建物などの合計金額、販売価格、建ぺい率が表示される

ランディ社は、年間約400棟の注文住宅・デザイン住宅を手がける、フリーダムアーキテクツデザイン(東京都中央区、鐘撞正也代表取締役社長)のグループ会社で、注文住宅に特化した土地探しシステム「ランディ」を開発し普及を目指す。

「ランディ」では、複数のポータルサイト・大手仲介会社のWEB情報や、宅地建物取引業協会が運営する地域特化型の不動産情報サイト、非公開土地情報などを含めて、最新の売土地情報を毎日収集し、データベース化する独自の特殊システムを構築。重複物件は自動的に排除する機能も搭載した。Google map上に売土地情報を表示することで、どのエリアに、どのくらいの数の候補地があるのかを視覚的、感覚的に把握できる。

「ランディ」の利用アカウントを取得したユーザーは、好きな場所、好きなタイミングで、パソコンやスマートフォンなどから土地探しを行える。また、複数の候補となる駅と乗車時間の組み合わせや学校区などから候補エリアを検索できるほか、建築可能な建物の広さから土地を検索できる機能も持たせた。適正予算、最大予算を算出できる資金計画のシミュレーション機能も搭載する。

不動産事業者任せが
土地探し客の成約率低迷の原因

土地の広さや金額、利用駅からの乗車時間などの条件から土地を絞り込むことができる

「ランディ」の土地探しのシステムを開発したのは約5年前にさかのぼる。当時、フリーダムアーキテクツデザインには、家づくりの相談に、多くの土地探し客が訪問していたが、なかなか成約に結びつかないという課題を抱えていた。

ランディ社の衣笠社長は、「土地がなければ、プランを描けないため、土地探し客に対しては、不動産事業者を紹介し、『土地が見つかったらあらためて来てください』ということをやっていた。これが成約できない原因になっていた」と話す。

一般的な不動産事業者にとって、土地探し客に対して、積極的に売土地を紹介しようというモチベーションは働きにくい。例えば、総額5000万円の予算で住宅購入を検討している顧客に対して、2000万円の土地を紹介すれば、3%の仲介手数料として60万円の利益しか得られない。一方で、5000万円の建売住宅の仲介が成立すれば150万円の利益につながる。「最初は、土地探し客に対して売り土地を紹介しても、顧客の希望のエリアに、売土地がそう簡単に出てくるわけではない。であるならば、『希望の学区内に予算内の建売住宅があるので一度見てみませんか』という提案をすることになりがちになる。不動産事業者にとってもビジネスであるだけに、利益幅の大きい建売住宅を紹介しようというモチベーションが働くことは当然と言える」(衣笠社長)。結果として、「土地が見つかったらあらためて来てください」と送り出した顧客の大半は帰ってこなかった。

こうした背景を踏まえて、フリーダムアーキテクツでは約8年前、土地探しに対応する専門部署を立ち上げた。それが成約件数の伸長に大きく貢献した。当時、年間100棟であったが、3年後には300棟にまで増加。土地探し客の契約率も1%以下だったものが、18%にまで上昇した。ただし、当時はさまざまな不動産サイトから売土地情報を人海戦術で集めていたため、利益率は高くなかった。そこで土地探しの仕組みを、テクノロジーを活用して自動化したのが『ランディ』になる。

住宅展示場で「ランディ」を提供
ハウスメーカー、工務店を支援

ランディ社では、土地探しのシステム「ランディ」をフリーダムアーキテクツだけで活用するのでなく、ハウスメーカーや工務店、住宅展示場運営会社などにも提供し普及を目指す。衣笠社長は、「住宅展示場の来場者の約65%は土地探しから家づくりを検討したいという要望があるにも関わらず、住宅展示場やハウスメーカーには『土地を探す専門的サービス』がない。ハウスメーカーは、専門分野が建物であるため、土地探しの情報量・ノウハウ・通常業務の多忙さなどのネガティブな面から、土地探しを不動産業者へ委ねるケースが多い」と指摘する。

そこで、ランディ社では、2020年8月、日本住情報交流センターが運営するハウスクエア横浜内に共同事業として、住宅展示場内で〝土地探し、ハウスメーカー選び、モデルハウス見学〟の全てがその場でできる相談窓口「ランディカウンター」1号店を開業した。来場者は、注文住宅に特化した土地探しシステム「ランディ」を活用することで、「土地探し・資金計画・ハウスメーカー比較」といったステップを住宅展示場だけで完結させることができ、「土地探し期間の短縮」や「比較検討の効率化」にもつながる。

また、2021年3月から、住宅展示場運営会社向けにFC加盟会社の募集を開始した。ランディカウンター運営のノウハウを住宅展示場運営会社に提供し、土地探しからワンストップで対応できる住宅づくりをサポートする。

ハウスメーカーや工務店の営業担当者の接客、追客を支援するSaaS型のシステム「ランディPRO」の提供も行う。月額利用料は営業担当者1人あたり2万円。ランディ社がPROアカウントを営業担当者に発行。営業担当者は、住宅展示場などを訪れた土地なし客に対して「ランディ」のユーザーアカウントを発行し、土地探しからプラン提案まで、よりスムーズに進めることができる。すでに多くのハウスメーカーが導入しており、ランディPROのアカウント数は2000アカウントにのぼる。一般的に土地探し客の成約率は1%程度だが、ランディPROを導入することで、成約率は3%にアップし、1年間の費用対効果として1300万円程度の収益アップが見込めることが、これまでに蓄積した実績データから分かっている。5年後には2万3000アカウントまで増やす目標を掲げる。衣笠社長は、「多くのハウスメーカー、工務店などに、注文住宅の社会インフラとして『ランディ』、『ランディPRO』を導入、活用していただき、『正しい土地探しの仕方』の普及を図ることで、注文住宅市場の最適化に寄与していきたい」と話す。

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ハウジング・トリビューンVol.624(2021年14号)

特集:

巨大な潜在市場が動き出す

2015年のいわゆる「空家特措法」施行から6年が経過する。
国は大きく利活用と除却の二方面から、制度改正や補助事業などを通じて空き家対策を進めてきた。
発生の抑制や除去などに一定の効果が出ているが、利活用についてはなかなか火がつかなかった。
空き家問題には数多くの課題が横たわる。
今、こうしたその散在した課題を解決するサービスが続々投入されている。
さらに、コロナ禍は空き家市場にとってマーケット拡大のきっかけになる。
テレワークの普及により、多拠点居住や多拠点ワークを行う「場」として空き家に関心が高まっているからだ。
今年3月に閣議決定された住生活基本計画でも、空き家の活用を「新たな日常」に対応した新しい住まい方の実現の1つに挙げている。
また、6月18日に閣議決定された骨太の方針でも空き家について言及。
「先進的取組や活用・除却への推進等の支援」などをしながら、既存住宅(ストック)市場の活性化に結び付ける考え方を明確にした。
こうした空き家への関心の高まりを追い風に、いよいよ空き家マーケットの誕生の期待が高まる。
国が掲げる2030年に14兆円のストック市場の実現可能性が見えてきた。

目次

HTʼs eyes

土石流が人災であったとしても
大規模盛土造成地の点検スピードアップを

ストック市場のけん引役になるか
空き家ビジネス
巨大な潜在市場が動き出す

TOPIC&NEWS

YKK AP、木製内窓の促進をサポート 木製窓展開の布石に
ミサワホーム、2030年に向けた実証住宅を建設
日本モバイル建築協会が発足、"移動式"の仮設住宅の普及に弾み

スマカチ通信2021 No.17「住宅業界のためのオウンドメディア講座」

INTERVIEW

長谷川萬治商店/長谷萬 代表取締役 執行役員社長 長谷川泰治 氏
木が求められる時代に材木屋を再定義
感動を与えられる商品・サービスを充実

CLOSE UP

三井ホーム 中大規模木造マンションブランドを創設
積水化学工業住宅 カンパニー 脱炭素と災害対策が付加価値の街づくりを強化
ビスダックジャパン パネルを活用した木造システム工法を開発

脱炭素化でギアチェンジ
加速する住宅省エネ化 動き出す断熱材市場

中央住宅 敷地とエネルギーをシェア 脱炭素社会を目指す暮らし価値を創造

リンナイ 入浴に新たな価値を! さらに上質なお風呂時間を実現

連載

[国産材を活かす㉓]『ウッドショック』下の木材利用③
林材ライター 赤堀 楠雄 氏

トヨタホーム 首都圏郊外での戸建分譲開発を推進
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