厳しさ増す林業経営 立木価格低迷で山の循環利用が困難に
(一社)日本林業経営者協会 青年部会長 内山総太郎 氏

内山 総太郎氏
1978年群馬県生まれ。2001年熊本工業大学工学部卒業、卒業後は大分県のトライウッド等で林業の実践的な経験を積み、2004年から実家の内山林業に戻り林業経営に従事。日本林業経営者協会の青年部会で活動し、2019年から会長に就任。
林業と住まい【前編】
──林業経営の現状について教えてください。
昨年の11月に、(一社)日本林業経営者協会の青年部が中心となり、政策提言「新時代の森林管理・林業経営に向けた提言」を公表しました。その政策提言の前提として書いたのは、森林を所有し、造林、育林、伐採を行う森林所有者を取り巻く環境は、かつてないほど厳しさを増しているということです。
スギの製材品、丸太、立木、それぞれの価格の推移を見ると、製材価格(正角)は1980年に7万2700円(1㎥当たり。以下同じ)でしたが、1995年には5万6800円まで下落し、その後、2010年に4万1600円で底を打ち、2019年には6万1900円と1990年代初期と同水準まで回復しています。
一方で丸太価格は、1995年が2万1700円、2019年が1万3500円、山元立木価格は、1995年が1万1730円、2019年が3061円となっています。
製材価格と丸太価格の差額を製材にかかるコスト、製材費とみなすと、1995年は3万5100円だったものが、2019年には4万8400円と1万3300円上昇しています。山元立木価格と丸太価格の差額を伐採、流通にかかるコスト、素材生産費とみなすと、1995年は9970円、2019年は1万439円と概ね1万円前後で推移しており大きな変動はありません。
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