三井不動産レジデンシャル、シニアレジデンス事業を加速
都心初のフラッグシップ物件を着工
三井不動産レジデンシャルは、富裕層向けの有料老人ホームを展開するシニアレジデンス事業を加速する。東京・西麻布に、フラッグシップ物件となる400戸超の「(仮称)パークウェルステイト西麻布計画」を建設する。
少子高齢化や小世帯化の影響などにより、高齢者人口や高齢者のみの世帯数が急速に増加している。内閣府の「令和2年版高齢社会白書」によると、2050年の平均寿命は、男性が84.02歳、女性は90.4歳まで伸長すると見込まれている。シニア世代に新たなライフステージが生まれつつある中で、同社はシニア向け住宅事業を新たな成長戦略の柱の一つと位置付け、シニア世代に上質なすまいと豊かなくらしを提供する商品・サービスの展開に力を入れている。
そのサービスの具体例の1つが、シニアのためのサービスレジデンスをコンセプトに立ちあげた有料老人ホームのブランド「パークウェルステイト」だ。同ブランドは、同社グループが培ってきた住宅やホテル、商業施設などの開発・運営ノウハウを生かした、上質な商品・サービスを提供。特徴としては、▽元気なシニア(入居時年齢は概ね60歳以上)のためのサービスレジデンス▽「三井のすまい」が誇る高いクオリティに裏打ちされた居心地の良い居室空間▽ダイニング・大浴場・フィットネスルーム・シアタールームなどの毎日の生活を彩る充実した共用施設▽コンシェルジュ、健康相談や「三井」ならではのアクティビティプランなどの上質なサービス▽介護サービスや医療と連携し、もしもの時も安心して最後まで居住できる高品質のケア環境──という視点で整備されている。
「パークウェルステイト」の事業スキームは、同社で開発・所有した建物を三井不動産レジデンシャルウェルネスが借り受け、入居者と終身建物賃貸借契約を締結し、サービスを提供する。 「パークウェルステイト」は4棟が着工、既に東京都杉並区で第1号の物件が稼働。5棟目となる「(仮称)パークウェルステイト西麻布計画」(東京都港区)はフラッグシップに位置付けられる。地上36階建てで総居室数は421室(一般居室361室、介護居室60室)と、都心では最大級の富裕層向け有料老人ホーム。2024年秋の開業を目指し、5月末に着工した。施設内には、慶應義塾大学病院と連携したクリニックを開設したり、介護事業者とも連携したりしながら、居住者の看取りまで行うという。
食事は、帝国ホテルに調理・サービス提供を委託する予定だ。スパ・フィットネスフロアも設け、医科学的根拠に基づき水温・水深・水流などが設定された特別なジェットマッサージプールなどがある。また、自然の要素をデザインに取り入れることで人々の健康や幸福、快適性に貢献するという「バイオフィリックデザイン」の考え方を導入し、緑を多く配置する計画だ。
同社シニアレジデンス事業部開発室の鳥羽茂室長は、「現在、6棟目のパークウェルステイトを検討しており、25年度以降も年間1棟ぐらいは立ち上げていきたい。今回の西麻布物件で、シニアレジデンス事業の展開をさらに加速させていきたい」と強調する。
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