2021.7.7

LGBTに向けた住宅ローンや不動産サービスじわり

新たな住宅需要層として掘り起こし

住宅ローンや不動産サービスを、LGBT(性的少数者)のカップルが利用できるようにする動きが広がっている。性的少数派に当てはまる人の割合は1割程度という民間調査もあり、需要の掘り起こしが始まっている。

LIFULL は国内不動産ポータルサイトで初めてLGBT 向けの相談サービスを展開している

auじぶん銀行は住宅ローンで、4月から同性パートナーを連帯保証人および担保提供者とした申し込みができるようにした。「ペアローン」の場合は、2人の利用者は、それぞれ互いの住宅ローンの連帯保証人となり、「収入合算」の場合は収入合算者が連帯保証人となる。同社は「ダイバーシティへの取り組みを推進する中で、あらゆるお客さまにサービスを利用いただける環境の実現に向けサービス拡充の検討を進める」としており、今回の対応はその一環。法的な婚姻関係のないLGBTのカップルが共に居住する住宅の取得に際の住宅ローンの活用を後押しする。

福岡県で不動産事業を展開する三好不動産は、2016年よりLGBTカップルの賃貸住宅のあっせんを開始。その後、LGBTカップルが不動産購入を求めるニーズが高まったことを受け、楽天銀行と今年4月に提携し、「楽天銀行LGBT住宅ローン」の商品紹介を始めた。

住宅探しや家づくりでも、LGBTを意識したサービス提案が始まっている。LIFULLが運営する不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME′S」は2月から、住まい探しや家づくりについて専属アドバイザーに無料で相談できる「LIFULL HOME′S 住まいの窓口」で、「LGBTQの方向けマイホーム講座・個別相談」のサービスを始めた。物件種別を問わず相談ができ、法律の専門家との提携により公正証などの書類作成の手続きをサポート。国内不動産ポータルサイトで初めての取り組みという。

サービスでは、住宅購入における基礎知識をはじめ、LGBTQ当事者が直面する法的課題への備え方を講座形式で、一組ごとに相談や質問をしながら、学ぶことができる。受講方法は、ビデオ通話でのオンライン形式と「LIFULL HOME′S 住まいの窓口」各店舗での対面形式を選べる。対象は戸籍上同性の2人で、注文住宅の建築や新築・中古物件の購入等を検討している人。「同性カップルが住宅を購入する際、不動産会社へカミングアウトできずに心理的な不都合が生じたり、長年連れ添っていても相続権や居住権が認められなかったりと、現在も課題は多く存在している」(同社)を踏まえ、サービスを始めた。

昨年、電通が全国6万人を対象に実施した調査によると、LGBTを含む性的少数者の割合は8.9%だった。新たな需要層として、住宅産業でも期待できそうだ。