2021.6.24

NCN、大規模木造建築分野の強化で23年度に30億円

独自のサプライチェーンでウッドショックに対応

SE工法による建築ネットワーク事業を展開するNCNは、大規模木造建築事業を強化し、売上高を23年度に、21年度比で3倍の30億円にまで拡大を目指す。また、独自のサプライチェーンの強みを生かしてウッドショックに対応する。


NCNの20年度の業績は、売上高が前期比2.7%減の64億3100万円と減収となった。

住宅分野は緊急事態宣言が発令された第1、第4四半期に大きく減少し、売上高は同1.5%減の54億9600万円。大規模建築分野は、例年売上が増加する第2、第3四半期が前年を大きく下回り、売上高は同20.4%減の5億7300万円にとどまった。一方で、新規登録店の獲得による利益増加、設計業務の効率化による経費減少などが寄与して売上総利益、経常利益は大幅に増加。経常利益は同25.1%増の3億2300万円で過去最高益を更新。登録施工店は前期から7社増え、546社となった。

また20年度には、大規模木造に取り組む設計事務所・ゼネコンなどの相談窓口の一本化、分かりやすい木構造加工・供給の仕組を構築する目的で、木構造デザインを立ち上げた。SE構法だけでなく、在来軸組工法、2×4工法、CLT構法に対応したマッチングサービスを展開する。また、18社のプレカット工場と提携し、生産体制を強化した。同社の田鎖郁夫社長は、「全国670社のプレカット工場のうち大規模なところから提携をスタートした。加工実績に占める割合は14%以上にのぼる」と説明する。

21年度は、成長分野への投資の一環として、大規模木造建築事業をさらに強化する。

田鎖社長は、決算会見でウッドショックの影響などについて解説。「サプライチェーンの精度をさらに高めていきたい」と述べた

新型コロナの影響により公共工事の大幅な遅延やプロジェクト見直しが発生し、当初計画に比べて進捗が大きく遅れているが、大規模木造の構造設計者など、人材獲得の強化、プレカット工場のネットワークを30社にまで拡大するといった施策で、「遅れを一気に取り戻し、23年度までに売上高30億円達成を目指す」(田鎖社長)。

また、安定供給を可能とするサプライチェーンの強みを生かして、SE構法で建設する住宅の受注増に結びつけていきたい考え。SE構法では、構造設計を起点として資材調達・施工までの一貫したサプライチェーンを構築しており、着工まで3カ月~5カ月のリードタイムを持ち、正確な資材調達を可能にしている。

田鎖社長は、「中小の住宅事業者の中にはウッドショックにより、木材が調達できず、見積りすらできない状況が生まれてきている。一方、当社は今期分まで木材を調達済みで、これまでに遅延、在庫不足は発生していない。当社にSE構法でご依頼いただければ、木材の調達を含め、しっかり対応していきたい」と述べた。

22年度の業績見通しは、売上高が同14.5%増の73億6500万円を見込む。一方で、成長期にあるとして、前述の大規模木造建築事業の強化を含め、BIM/CADセンターや、R&Dセンターの設立などで成長分野への投資がかさみ、経常利益は同20.4減の2億5700万円と見込む。