2021.5.31

エクセルシャノン 温暖地域の窓の樹脂化・トリプル化に注力

製品力強化、販売力強化で2030年に3倍の採用を目指す

相次ぐ新商品・新アイテム
住宅市場へ向けた樹脂サッシの商品・販売戦略を聞く

国内最高レベルの断熱性を持つ樹脂窓「シャノンウインドウSPG」を発表したエクセルシャノン。
ほかにも「引違い掃き出し窓」や「内観ブラック色」など新商品の投入が相次ぐ。
東北以南の温暖地域で窓の樹脂化、トリプル化を強く進める同社の戦略などについて、橋本幸登志・開発技術本部本部長、濵田尚志・営業本部本部長の二人の取締役に聞いた。

取締役 開発技術本部 本部長 橋本 幸登志 氏
取締役 営業本部 本部長 濵田 尚志 氏

──今年度に入り、相次いで新商品を発売します。

濵田 エクセルシャノンは樹脂サッシの専門メーカーとしてこれまで北海道や東北といった寒冷地を中心に事業を展開してきました。2014年時点では北海道・東北地域が売上高の8割を占めていました。しかし、ZEHが普及するなど東北以南での高性能住宅の普及にともない、2015年に北海道・東北地域と、東北以南地域のシェアが逆転しました。このターニングポイントとなった2015年以降、東北以南の販売強化を進めてきたのです。

東北以南の地域はアルミサッシ、アルミ樹脂複合サッシが強いエリアです。ここで高性能な樹脂サッシを普及させていくには、それらの商品と同じように扱える納まり、商品やカラーバリエーションが求められることから、それらの商品開発に取り組んできました。

UW0.52Wの断熱性をもつ「シャノンウィンドウSPG」

橋本 今年4月には、トレンドである内観ブラック色を追加、アングル付き窓枠を発売しました。そして6月には国内最高クラスの断熱性能を持つ「シャノンウインドウSPG」と、引違い掃出し納まり用枠を発売します。

SPGの真空断熱トリプルガラスにはパナソニックの真空断熱ガラス「グラベニール」を採用、UW値0.52W/(㎡・K)を実現した、エクセルシャノンのブランドイメージ訴求につなげるフラッグシップ商品です。HEAT20がG3を提案するなど、住宅の高性能化が急速に進みつつあるなかで、現在の1.0W断熱性能の窓でも性能が足りなくなってくるのではないか、そうしたニーズに応えることを開発の目的としました。また、パナソニックと協業していくという象徴的な意味合いも持ち、両社が持つ最高の技術で、最高の性能を目指すことも開発の狙いの一つです。

また、「引違い掃き出し窓」や「アングル付き窓枠」は、納まりの面から東北以南で展開する上でなくてはならないラインアップです。例えば、「引違い掃き出し窓」は、寒冷地仕様の窓枠では床のレベルが合わず、サッシが床面から15mm程度立ち上がってしまい、これまでは現場での調整が必要でした。性能が良いと検討していただけても、この納まりの部分が大きなネックになっていたのです。こうしたラインアップがなければ勝負になりません。

トレンドを踏まえ内観ブラック色をラインアップ
サッシの枠の立ち上がりを40mmにスリム化した引違い掃き出し窓も6月に発売する。

──東北以南でシャノンウインドウを拡大していくうえでの戦略は?

濵田 これまで同様、トリプルガラスを中心に据え、性能の高さを強く打ち出す販売戦略を継続していきます。当社は、2008年に他社に先駆けてトリプルガラスの樹脂サッシを発売、現在、全体販売量の6割をトリプルガラスが占めています。

高性能住宅は今後、さらに拡大していくでしょう。今後、東北以南の地域においてもトリプル化がもっと進んでいくのではないでしょうか。

特に近畿圏で住宅事業者からの新規の問い合わせなどが増えています。今年4月には関西支店名古屋出張所を開設し、東海地区における販売にさらに注力していく考えです。
また、パナソニックとの協業の一つとして、パナソニックリビングがシャノンウインドウの販売を行っています。販売チャネルの拡大は販売増に向けた大きな足掛かりとなっています。
国が2050年カーボンニュートラルを打ち出しました。家庭部門のCO2削減はやはり住宅の対策が重要で、強い追い風が吹き始めたと思っています。新設住宅着工自体は縮小傾向にありますが、開口部の樹脂化の割合は高まっていくでしょう。商品ラインアップをより充実させ、確実に風を捉えていきたいと思っています。

──樹脂化、さらにはトリプル化を進めるうえでのポイントは?

濱田 やはり一番は価格になると思います。もちろんコストダウンの努力は続けていきますが、価値があるものはそれなりにコストがかかります。その価値をいかに理解していただくかが大きなポイントではないでしょうか。親会社のトクヤマとパナソニックの関連会社ならではの強みをどう出していくかが重要になってくると思います。

橋本 シャノンウインドウの大きな特徴は形材にあります。20年以上、フレームが大きく変わっていません。開口部は躯体につけて長く使うものであり、設計にこだわり、変わらない性能がシャノンウインドウの強みです。
加えて、パナソニックが持つ技術、デザインなどのノウハウを融合させることで新しい価値を生み出していきたいと思っています。

──今後の計画は?

濱田 次々に新たな商品を発売し、バリエーション、デザイン、カラーと、ラインアップを充実していく考えです。トクヤマという化学の会社が、まじめに作っている窓をもっと広く知っていただきたいですね。東北以南での知名度アップを図っていきます。コロナ禍で先行きが少し不透明ですが、この5月から全国主要都市でキャラバンを行います。そこで色々な方の意見を聞き、今後の製品開発につなげていきたいと思っています。

橋本 日本の住宅はまだまだ寒い。北海道のように冬でも半袖で過ごせるような家を全国的に普及させ、CO2削減に貢献したいと思います。早く、HEAT20のG2レベルが当たり前になると良いですね。

現在、日本の窓の樹脂化率は22%強ですが、これを30%、40%に高めていきたい。エクセルシャノンは、住宅省エネ化の流れのなか、パナソニックとの協業による販路拡大、また、製品力強化などを通じて、2020年時点で約1万棟の採用棟数を2030年に約3万棟と3倍とする目標を掲げています。


エクセルシャノン
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