トヨタホーム、木造住宅を強化し第二の柱に
3年後には300棟供給へ
トヨタホームは、昨年販売を開始した「MOKUA-J」を武器に、木造住宅の取り組みを強化し、第二の柱に育てる。
3年以内に300棟を供給し、販売戸数の1割を占めるまでにしていきたい考えだ。
在来工法で木造の全国展開へ
第一弾の分譲が好調
トヨタホームは木造住宅の取り組みを強化する。
同社は創業以来、鉄骨住宅の販売を行っていたが、2018年に木造住宅の取り組みを開始し、2×4工法による木造住宅「MOKUA(モクア)」の販売を開始した。新築市場が縮小するとともに、メインターゲットが一次取得者層に移る中で、値ごろ感のある中小工務店の領域まで、提案する市場を広げるという狙いからである。
「これからは、木造にも取り組まないと経営を維持できない時代だ」と、横田純夫専務取締役は危機感を募らせる。
一方で、MOKUAの販売を通じて木造住宅の取り組みを開始してから課題も見えてきた。その一つは、全国での供給が難しいことだ。
MOKUAは2×4住宅を展開するトヨタウッドユーホーム(石川均社長、栃木県宇都宮市)からパネルの提供を受けているが、栃木の工場からパネルを遠方に輸送するとなるとコストが大きく掛かり、全国規模で木造住宅を展開することが難しい。
そこで、木造住宅の全国での展開を図るため、工場からパネルを輸送する必要がない、在来軸組工法での木造住宅「MOKUA‒J(モクア・ジェイ)」を開発、販売を開始した。
昨年4月から滋賀県大津市の住宅分譲地で販売を行ってきたが、売れ行きが非常に好調で間もなく完売する見込みだ。同分譲地での販売価格は土地付きで4000万円前後であり、木造住宅ならではのコストメリットなどが評価を受けているという。
首都圏の住宅分譲で積極展開
地方では注文中心に提案
こうしたことから、トヨタホームは「MOKUA-J」を通じて、さらに木造住宅の取り組みを強化する。
この一環として、首都圏での住宅分譲地でのMOKUA-Jの展開に力を入れる。
コロナ禍で家で過ごす時間が増えたことで、より快適な住環境のニーズを求めて賃貸から持ち家への住み替え需要が高まっている。特に、テレワークを前提に、郊外の分譲住宅を購入する人が増えている。
こうしたことから、トヨタホームは首都圏郊外の分譲住宅の取り組みを強化しているが、その中でMOKUA-Jを積極的に展開していく。特に、LDKが北向きであるなど、通常は販売しにくい区画にMOKUA-Jを建築し、コストメリットを武器に分譲住宅の訴求力を高めたい考えだ。今年1月に千葉市美浜区の大規模戸建分譲地「ミライハマ稲毛海岸」の5区画で、MOKUA-Jの販売を開始しているが、今後も首都圏の郊外エリアを中心に住宅分譲地でのMOKUA-Jの展開を図る方針。
また、首都圏以外の地方部では注文住宅の需要が多いことから、注文住宅で積極的にMOKUA-Jの取り組みを行っていく。
これまで2×4工法のMOKUAを気に入っても、狭小道路だとパネルを積載した大型トラックが入ることができなかったり、建築用地が変形敷地であるために2×4工法で対応できないために、建築を諦める人も多くいたという。在来工法のMOKUA-Jなら、こうした課題を解決できるため、「これまで取りこぼしてきたニーズを拾い上げていけるのではないか」と横田専務取締役は期待する。
トヨタホームの木造住宅の供給棟数は2020年度は約20棟、2021年度は現在50棟ペースで推移しているが、MOKUA-Jを積極的に展開していくことで、3年以内には300棟を販売し、同社の住宅の供給棟数の1割を占めるまでに持っていきたい考えだ。
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