日本合板工業組合連合会、厚さ30mm以上の超厚合板の開発に着手

中大規模木造を下支えする新構造材に

日本合板工業組合連合会(日合連)は、2020年度重点事業として厚さ30㎜以上の超厚合板の開発に着手する。市場が拡大する中大規模木造などに使用できる新構造材など、新たな用途開発を目指す。

超厚合板のサンプル

日合連は2020年度の林野庁の助成を受け、現在は厚さ30㎜程度の構造用合板をさらに厚手化し、市場が拡大する中大規模建築物の木造化に寄与するとともに、合板に関するJAS規格の改正を図ることを目的に技術・製品開発を開始した。

近年欧米では、厚物合板をさらに複数枚積層してつくる極厚の合板が注目されている。2015年ころからCLTなど、「木の塊」を意味するマッシブホルツと呼ばれる建築材料が隆盛する中で、米国のFreres社が超厚合板の生産を開始。2017年には、オレゴン州立大学と共同研究をスタートさせ、大学敷地内でCLT壁や、超厚合板を屋根などに大量に使用した高層木造建設プロジェクトが完成している。

日本でも日合連が中心となり、MPPの技術・製品開発に着手し、新マーケットの開拓、需要拡大につなげていきたい考えだ。

必要な用途から逆算して技術開発、規格整備

3月1日、林野庁の補助事業の成果報告会を開催し、日合連の井上篤博会長は「2050年の脱炭素化の実現に向け、大きな変化が起き始めている。二酸化炭素を分離・回収し資源として再利用するCCUと、二酸化炭素を分離・回収し地下へ貯留するCCSといった技術にも注目が集まっているが、これはまさに木のこと。育ち、製品化され、建物で利用される過程でCO2を吸収し固定化する。CCU、CCSの一環として超厚合板の開発を進め、脱炭素化に貢献していきたい」と述べた。

報告会では、東京大学大学院農学生命科学研究科の青木謙治准教授が「米国における超厚合板の開発と実用化」の状況などについて説明した。

それによると米国では、ダグラスファーを原料とする2400㎜×1200㎜の大きさの合板を、フックドスカーフジョイントという方法で縦継ぎし、さらに縦継ぎした合板を、積層接着することで厚みを増して超厚合板を製造。一般的な合板は、平行層と直行層を交互に重ねるが、米国の事例では、全9層のうち、上から4層目と6層目の2層のみ直行層を入れた構成を採用。これにより長尺方向の強度を高め、より長いスパンを飛ばすことが可能に。14.5mまで製造できるという。

ただ、米国の超厚合板をそのままに日本に持ち込むにはハードルがあり、新たな技術開発、基準整備などが求められる。米国の超厚合板の単板構成や、縦継ぎなどは、日本のJASで定められていないため、こうした仕組みをそのまま日本に持ち込むことは難しいためだ。

青木准教授は「日本でも、超厚合板を新しい構造部材として使用できるように、技術開発、規格整備を進めていく。どのような用途で超厚合板を使用するのかといったところから議論を進め、その用途に合わせた形で、性能試験を重ね、規格を整備していく必要がある」と説明した。

なお、近年、木造建築の可能性を広げる新構造材として注目を集めるCLTについては、JAS規格が制定されたのが2014年、そこから2013年~2015年にかけて実大CLTの強度試験が実施され、2016年にCLTの基準強度告示が制定。これにより構造部材として一般建築で使用できる環境が整った。集成材やLVLなどは、材料規格と基準強度の制定までに4~5年を要している。

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