2021.1.20

ポラスグループ・中央住宅 戸建分譲でハイグレードシリーズを推進

東京・練馬で既存樹木を付加価値に9棟を分譲

ポラスグループ・中央住宅は、戸建分譲住宅事業でハイグレードシリーズを推進する。東京都練馬区で、樹齢80年の既存樹木を付加価値にした開発を実施、建物・外構が完成した。

旧邸宅から残したイロハモミジ

ポラスグループ・中央住宅 マインドスクェア事業部 (埼玉県越谷市、品川典久社長)は、東京都練馬区で戸建分譲住宅のハイグレードシリーズ「マインドスクェア ヘリテージ光が丘 つむぎのまち」(全9戸)を開発、建物・外構が完成した。

元々、「マインドスクェア ヘリテージ光が丘 つむぎのまち」の開発地には、三菱財閥創業者の岩崎弥太郎の姻族で実業家の各務鎌吉の農園別邸があった。設計は神港ビルヂングや馬車道大津ビルなどを手掛け近代建築家の木下益治郎が担当したものでアール・デコ調の美しい意匠が施されていた。1933年に竣工し、オーナーが何度か変わり、ポラスグループが昨年取得した。

開発前の邸宅が歴史ある素晴らしいものであったため、「マインドスクェア ヘリテージ光が丘 つむぎのまち」では、その歴史を繋ぐような開発プランを建てた。

その象徴が、邸宅にあった樹齢80年のイロハモミジを残すことである。場所を移さずそのままの場所に残し、モミジを取り囲むように住戸を配置。住戸の窓からイロハモミジを眺められるようにした。

当初3年間はポラスグループがモミジの管理を行うが、その後はポラスグループが造園業者を紹介し住民が管理する。管理費用は年間9000円程度掛かるが、「購入者はそれだけの価値があると考え、購入検討段階で管理費用は全く問題になっていない」(金児正治取締役事業部長)としている。

「マインドスクェア ヘリテージ光が丘 つむぎのまち」では、イロハモミジ以外にも、旧邸宅の歴史を残したプランニングを行っている。例えば、旧邸宅の格式、凛とした佇まいを記憶として残すため、特徴的だったいぶし瓦の屋根をモダンな和瓦で表現。さらに 縦格子、丸窓、造作門柱なども採用し、美しい建築遺産を現代にあったかたちで継承するようにした。

住戸の室内からは美しく色づいたイロハモミジを眺められる

歴史受け継ぐ付加価値が奏功
価格高めても販売好調

「マインドスクェア ヘリテージ光が丘 つむぎのまち」の販売は好調だ。9月19日から広告を展開し、10月10日から販売を開始したが、12月3日時点では9戸中8戸が成約している。ポラスグループでは5000万円台半ばの価格帯を得意とするが、今回は5990万円~7590万円(税込)と1000万円以上のコストアップだ。それにも関わらず、販売が好調である理由について、金児取締役事業部長は「旧邸宅の歴史を受け継いだプランニングの付加価値が奏功した」とみる。

こうしたことから、今後も開発地の歴史を受け継いだ分譲住宅の開発を推進していきたい考えだ。例えば、現在、戸建、マンション、商業施設の複合開発計画を進めているが、そこで今回のように既存樹木を生かした取り組みを行う予定だ。また、旧邸宅の立派な門を残すことで、ゲーティッドコミュニティの分譲住宅開発も予定している。