注目度高まる国産広葉樹 針葉樹一辺倒の林業から脱却
針葉樹人工林の林業が主流だった
林業や国産材について議論する際、ほとんどの人がスギやヒノキ、カラマツといった人工林を思い浮かべているのではないか。政策的にもそれは同じで、特に木材利用に関する公的支援事業は、人工林の利用を念頭に置いたものがこれまではほとんどであった。
それには1960年代から全国的に進められた、いわゆる「拡大造林」施策が大きく影響している。ブナやナラといった広葉樹が主に生育していた天然林を大規模に伐採し、スギやヒノキの針葉樹に植え替えたこの施策によって、日本の森はその姿を大きく変えた。
背景には、エネルギー革命によって、里山の広葉樹林からもたらされていた薪や炭の需要が大きく減少したこと、高度経済成長に伴って住宅需要が急増したことなどの事情があった。用途が縮小した広葉樹には「低質」とのレッテルが貼られ、成長が早く、建築用材として使い勝手の良い針葉樹への植え替えが奨励されたのである。
林業界では、森林に占める人工林の割合、すなわち人工林率を引き上げることが王道であるかのように言われ、そうした風潮は現在でも各種の報告書や行政文書の記述などに垣間見える。人工林率が高ければ、それだけ林業が盛んであり、人工林率が低位であれば、それはその地では林業が盛んではないことを意味する──という意識が林業界、特に行政の世界では、今に至るまで共有されてきたことが、それらの書きぶりから伝わってくる。
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