2019年度のZEHは約6万戸と着工の14%に
ハウスメーカー普及率は47.5%と目標達成目前
ZEHの2019年度の実績は約6万戸と、着実に広がりつつある。
ただ、注文住宅がそのほとんどを占め、供給者もハウスメーカーへの偏りが目立つ。その普及にはまだまだ課題は多い。
(一社)環境共創イニシアチブが行った「ZEH」報告会で、ZEH普及の現状が明らかになった。
ZEHビルダー/プランナー(2019度末7539社)が2019年度に建設したZEHはシリーズ全体(ZEH Oriented含む)で5万9648戸と、新設住宅着工戸数に占めるシェアは約14%であった。内訳は注文住宅が5万7741戸で、新設住宅着工戸数の約2割を占めるまでに広がっている。一方、建売住宅(分譲)は1907戸と2000戸に満たず、シェアも1.4%にとどまっている(図1)。
注文住宅は5万7741戸、ZEHシリーズ全体の96.8%とそのほとんどを占める。前年度まではZEH Orientedの数字を含んでいないため、その数字を除いた5万7322戸で比較すると、前年度比4.9%増と、着実に増えつつある。内訳は、ZEHが4万1235戸とシリーズ全体の71.4%と7割超えで、同11.1%増と大きく増えた。Neary ZEHは1万6087戸と同6.2%減少した。ZEH Orientedは419戸である(図2)。
ZEHの普及は注文住宅が先行し、その拡大を担ってきた。ただ、その拡大のスピードは2019年度に鈍ったようだ。前年度比伸率は2017年度が24.7%増、2018年度が26.4%増であったが、2019年度はZEH Orientedを含めた数字でみても6.2%増にとどまっている。
一方、建売住宅(分譲)は1907戸とZEHシリーズ全体に占める割合は3.2%にしか過ぎない。1907戸は同6.2%増であるが、ZEH Orientedを含めない1843戸でみると伸び率は同2.6%にとどまる。
内訳はZEHが1171戸と約6割を占めるが、同3.5%の減少だ。Neary ZEHは672戸と数は多くないものの同15.3%増となった。ZEH Orientedは64戸である(図2)。
なお、これら新築以外の既存改修におけるZEH(ZEH Orientedを含む)は214戸で、前年度比34.6%増であった。
普及を牽引するハウスメーカー
工務店の普及が課題に
国は「第5次エネルギー基本計画」において「2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建住宅の半数以上で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」と目標を掲げている。
ハウスメーカーの実績は4万1784件、一般工務店が1万8078件と、ZEHの普及のほとんどをハウスメーカーが担っている。また、その普及率もハウスメーカーが47.5%、一般工務店が12.6%とハウスメーカーが大きく先行する。
(一社)プレハブ建築協会の環境行動計画「エコアクション2020」によると、2019年度、会員の注文戸建住宅におけるZEH供給率は61.8%と、国の掲げる目標を大きく上回った。ZEHの要件である「強化外皮基準」の適合率は8割を超え、各社のZEH対応商品.仕様の普及が進んでいる。
こうしたハウスメーカーの取り組みにより2020年の国の目標は達成する見込みだが、今後、さらなるZEHの拡大に向けては工務店における普及が大きなポイント。年間総新築数の大多数を占めるだけに、そのZEH推進は2030年の目標に向けた大きな課題といっていい。
自社目標未達成だったZEHビルダー/プランナーの「未達成理由」は、「顧客の予算」が圧倒的に多く、「顧客の理解を引き出すことができなかった」、「体制不備」がトップ3。この傾向は前年度から変わらない(図3)。ユーザーにZEHの魅力やメリットを伝えきれていない様子がうかがえる。さらに「体制不備」の詳細理由では「営業の知識不足」が圧倒的に多く、供給側のZEHに対する理解不足がその背景にあるようだ。
“ZEH〞の名称はほぼ一般化したといえるが、ユーザー、住宅事業者ともに魅力やメリットなどの周知活動をさらに進めていく必要がありそうだ。
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