2020.12.15

ベターリビングが住宅ストックでシンポ

リフォームの消費刺激などを探る

(一財)ベターリビング サステナブル居住研究センターは11月26日、「住宅ストック6000万戸をどう住みこなすか」をテーマにシンポジウムを開いた。既に13.6%に及ぶ空き家率が発生している国内の住宅ストックを、今後どのように活用すべきかについて考えた。

首都大学東京名誉教授の深尾精一氏がファシリテーターを務めたパネルディスカッションでは住宅ストック6000万戸の今後について話し合った

事業者側の視点から講演した、TOTO相談役の張本邦雄氏は「ここ数年国の施策も劇的に変わっており、リフォームへの支援比率がどんどん上がっている」としながら、市場規模が6、7兆円とされる現状の住宅リフォームについて「伸び悩んでいる」と指摘した。

中古住宅購入時にリフォームを行った比率は4割程度。6割はリフォームが行わなかったことになるが、これについて張本氏は調査データを用いながら予算不足が大きな理由と説明。張本氏は「リフォームの費用をどうやってねん出してもらうかが大きな課題」と述べた。また、どのような工事をしたらいいのか、業者をどこに依頼していいのかわからないなど、業者や工事に関わることがリフォームの阻害要因であることも指摘した。

2003年に大建工業とYKKAPと始めた「TDYアライアンス」の取り組みにも触れた。張本氏はトイレリフォームを例に連携の重要性を強調。最適な空間を求めてトイレリフォームをする場合、便器の他に換気や暖房などさまざまなアイテムが関わる。張本氏は「それぞれの専業メーカーがトータルで物を考え提案したほうが、お客の求める最適な空間の提案ができる」と話した。リフォームへの投資は20年間で約800万円とされている。「この800万円のうちの7、8割の商材がアライアンスと協賛企業の中で提案できている」と紹介した。

千葉大学大学院の下村義弘氏は人間の生理機能の側面から住まいと暮らしの未来を考えた。下村氏によると、社会は世代という感性集団で作られており、例えばLEDの明るく青白い光環境で育った世代は味に繊細になるという。技術などの発達で、今後さらに世代間の違いが生じる可能性も。住宅を使い続けるためには「世代に応じた生活のチューニングが必要」と下村氏は述べ、リフォームの重要性を指摘した。

「ネット空間を含めた空間の利活用」をテーマに講演した東洋大学情報連携学部学部長の坂村健氏は、6000万戸の住宅ストックが住まい手から「信用されていない」と指摘した。タクシーなどのマッチングサービスを参考にしながら信用構築の重要性を訴えた。

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