2020.12.8

武蔵コーポレーション、アパート新築事業へ参入

26年売上高1000億円に弾み

 

収益用不動産の売買、仲介、賃貸管理を行う資産運用会社の武蔵コーポレーションは、アパート新築事業に参入した。建設コストを「大手ハウスメーカーの半額」(大谷義武社長)に抑え、地方での建て替えを狙う。

建て替えられた新築アパート

同社はバブル期の老朽化した共同住宅などを買い取り、リノベし、投資家に販売している。

少子化や高齢化から資産運用への関心は高まっており、同社によると、2020年の相談件数は1800件に迫る勢いで、既に昨年の実績を上回っている。「コロナの影響もあり、資産運用への関心はさらに高まっている」と大谷社長。

一方で、老朽化した建物の中には、建物が傾いていたり、シロアリ被害を受けていたりなど、リノベしても販売できないケースも少なくないという。同社は、収益物件保有者から請け負うアパート建て替え、土地所有者から請け負うアパート新築の2つの方法で、老朽化した物件の建て替えと相続税対策などの土地活用それぞれのニーズに対応しようと、今回、新築事業へ参入に踏み切った。

新築アパートは「MQuarto」(エムクォート)シリーズで展開。建物以外を工事する外構工事込みで1K戸当たり500万円(税別)から、1LDK戸当たり750万円(税別)から、といった低価格で高利回りの実現を提案する。大谷社長は「営業コストを最小限に抑えながら、大手ハウスメーカーの半額ぐらいで提供し、地方でも採算がとれる、木造アパートを開発した」と話す。既に6件の受注があるという。

部屋は25㎡程度。劣化対策等級3、耐震等級2、断熱等性能等級4といった住宅性能表示を取得するなど、品質にもこだわる。建築のみならず、建築後の管理、売却までトータルで同社がサービス提供することで、土地活用をワンストップでサポートする。

また、新たに事業用物件の再生にも乗り出した。狙うのは埼玉、千葉、神奈川などでの1.5〜2等地のエリアの物件。既にさいたま市の住宅街にあった工事未完了のビルを買い取り、リノベして販売した実績を持っている。開発費で5億円〜20億円を想定しており、大手にしては規模が小さく、個人では規模が大きい物件を狙う。

収益用不動産の総合デパート目指す

同社の現在の売上高は140億円。こうした新規事業をばねに26年には1000億円の売り上げを目指す。大谷社長は「今後は、中古、新築問わずお客様の収益用不動産に関するあらゆるニーズに合わせたソリューションを提供して、収益用不動産の総合デパートとしての地位を確立していきたい」と強調する。