2020.9.9

ポラスグループ・ポラテック、木造非住宅分野でプレカットが注目

ホテルのオブジェ、倉庫などに提供

ポラスグループ・ポラテックで加工するプレカット材が木造非住宅分野で注目されている。国内外からの観光客が多い東京・浅草のホテルでは新たな名所にプレカット材が一役買っている。

「浅草ビューホテルアネックス六区」のエントランスにお目見えした吉野桧を使った木組みのオブジェ

東京・浅草で、近く開業予定の「浅草ビューホテルアネックス六区」のエントランスに吉野桧を使った木組みのオブジェが登場。プレカット材を同社が提供した。ホテルを運営する日本ビューホテルの佐藤修事業開発室長は「本物にこだわった」と話す。

1階レストランには歌舞伎座で使われた舞台がある

ホテル建設前は、松竹が映画館を運営していたが、江戸から明治初期にかけては、周辺で歌舞伎小屋を松竹が運営していたという。国内外から多くの観光客が訪れる浅草という地で、「歌舞伎の小屋をどこかに意識させるような感じのものをしつらえ、芝居を見せるような形をホテルのアイデンティティとして考えた」(佐藤氏)。

室内からみるとエントランス天井の梁とつながって見える

新設されたホテルの向かいには本館がある。その1階の部分の天井は、見る角度によって縦格子にもアーチにも見える「浅草変わり格子」という木造建築に見せたものをしつらえた。佐藤氏は、「その流れを踏まえ、今回木にこだわった。江戸後期の芝居小屋は必ず木造の梁の空間を作って、その上にテントをかぶせていた。そうした梁の空間をオブジェで実現した」と話す。

今回は、あえて梁を見せることにこだわった。理由について佐藤氏は、「寺社仏閣の建築を含めて、このような梁はみんな天井に隠れている。日本の建築物はこういう風に作られているんだ、釘を使わないで木組みで強度を増しているんだということを、多くの国内外のお客に見てもらいたかった」と話す。ホテル2階からは、室内の梁とエントランスの天井の梁がつながるようなデザインを施している。

オブジェに使った柱は180mm角、梁は150mm幅など。柱間に車が入れるように3845×3200mmのグリッドで柱を9本設置。柱は梁上で追っ掛け継ぎをした。ポラテックプレカット営業本部長の園部雅子氏は「2年前に話をもらったが、その際は正直なところプレカットで果たしていけるのか不安だった」と明かす。無垢材を使ったが、長尺だと節が出ることも想定されたが、「ほぼ無節のものをポラテックの仕入先である上大木材から納品してもらい、工場でフォークリフトを扱う際に手が震えたと話す担当者もいた」(園部氏)と振り返る。

柱については、プレカット加工械に入らないため、全て手加工で対応したという。「元々、軸組は隠れてしまうものだが、今回のオブジェでは、いつでも見ることができる。20年ぐらい営業に携わっているが、非常に勉強になった」と園部氏は話す。

材木倉庫にもプレカット材提供
新たな非住宅分野として期待

木材倉庫の外観

ウッドデッキなどに使うウェスタンレッドシダーだけを販売する、神奈川県横須賀市の「エムズ」は、木材を保管する倉庫に、ポラテックのプレカット材を使った。もともと、コストを抑えるため、テント倉庫を計画していた。ところが、テント倉庫の場合高さ制限がある。西田洋一代表は「木材を横に載せると、作業が雑になり、クレームになる」との持論から、縦置きにこだわってきた。このため、テント倉庫の建設を断念。ポラテックに白羽の矢が立ったというわけだ。分離発注のため、施工は他の業者となったが、「その分現場での修正がきかないため、工場でのプレカット加工の正確性が求められる」と西田氏。ポラテックの正確性が発揮され、延床約340㎡の建物が、およそ2カ月で完成した。西田氏は「木は自由度が高く、テント倉庫での計画に比べ、コストは1.5倍くらいになったが、結果的に木でやってよかった」と振り返る。

プレカット材で建てた木材倉庫

倉庫は、例年の夏ならば海水浴やサーフィンを楽しむため、渋滞となる国道134号線沿いにあり、人の往来が盛んな場所にある。一見すると、建物は材木倉庫とはわからず、見学に訪れるケースもあるという。「SNSで上げてくれれば、それだけ木に対して関心を持つ若い人も増える」と情報発信としての役割も見据える。

エムズの西田代表は「材木屋は木材をもっと積極的に使うべき」と話す

ポラテック非住宅推進部の岩田聡課長は「今後コロナ禍で倉庫の引き合いが増えると予想される中、新たな非住宅木造の用途を見つけることができた」と今後を見据えた。

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ハウジング・トリビューンVol.626(2021年17号)

特集:

木促法改正で市場拡大に期待

利用期を迎えた国内の森林資源の活用、また、SDGs、脱炭素化といった観点から、木造建築推進の機運が高まっている。
2021年6月には、公共建築物木造利用促進法(木促法)が改正され、脱炭素社会の実現に向けて、一般建築も含めて、木造化を推進していく方針が打ち出された。
市場拡大への期待が高まる中で、事業者の動き、木造建築を建てやすくする技術開発が加速する。
中大規模木造市場攻略のポイントはどこにあるのだろうか。

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