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新型コロナの影響で移住希望が増加 まちやどを活用して暮らすように滞在する

case8. 東京都台東区②

一級建築士・宮崎晃吉さん(HAGI STUDIO主催、東京都文京区千駄木)は、東京・谷中で町の古いアパートをリノベーションで宿泊施設(hanare)にし、街の銭湯で憩い、居酒屋で飲食し、町を周遊して楽しむ。町まるごと宿を始めた。谷中は下町の情緒と街並みが残っていることから海外客にも人気を呼び70%が欧米からの客が利用するようになった。

hagisoにある宿のフロント

このアイディアはローマで宮崎さんが宿泊した民家を改装した宿がヒントだった。その後、ナポリ在住で地域再生コーディネーターの中橋恵さんがhanareに泊まりに来て、イタリアには町まるごとホテルにするアルベルゴ・ディフーゾ(Alberghi Diffusi=点在する宿の意)があることを教えられる。彼女はイタリアの地域づくりの調査を手掛けた著作もある。

彼女のコーディネートで、2016年11月アルベルゴ・ディフーゾ協会会長・ダッラー・ジャンカルロ氏を招きシンポジウムが谷中で開催され満員となった。会場は宗林寺。この寺の住職は、宮崎さんが最初にリノベーションを手掛けた学生アパート萩荘の家主。萩荘は現在Hagisoと改名されhanareのフロントとカフェ、アートスペースなどに使われている。

これを機に、Hanareは、イタリア・アルベルゴ・ディフーゾ協会に日本で初めて認定される。

空いていたアパートを使った宿hanare

さらに発展をさせて一般社団法人日本まちやど協会を設立。メンバーは建築家・一級建築士などを中心にした街づくりに取り組む実践家である。熱海の市来広一郎さん、東京の大島芳彦さん、嶋田洋平さん、岡山県倉敷市の中村功芳さん、香川県仏生山の岡昇平さんなどだ。

現在、北海道帯広、鹿児島県鹿屋市など全国23カ所にネットワークが生まれた。コンセプトは「まちを一つの宿と見立て宿泊施設と地域の日常をネットワークさせ、まちぐるみで宿泊客をもてなすことで地域価値を向上していく事業」。

しかし新型コロナの影響で多くが自粛を余儀なくされた。海外からの客は当分望めない。そんななか、毎週、全国の日本まちやど協会のメンバーとZoom会議を行った。

会議の中で浮上したのが移住のニーズだ。

「街を紹介したり、人を知ってもらうには、結構いいきっかけになる。というのは、みんな意識をしていて、実際、移住を考えた人が予約をとっている。

歩いて買い物と散策が楽しめる谷中の街並み

もともと宿泊だけをやろうという人は少ない。街づくりを手掛け、建築をやるなかで、宿泊業もという人が多い。暮らすということを繋ぐ役割。“お客さんは一泊からの住民である”は、協会の共通した考え。連泊をしてそのまま住んだという人もいる。そういう場所でもある。観光と暮らすをわけないで地続きに繋がるものと考えて、まるごと移住ではなく半移住とか、そういうつながりをどうつくっていくか。100%観光ではなくて、暮らしているみたいに滞在をしていることができる、そういう役割がまちやどにはある」(宮崎さん)

新型コロナの影響で実際都心から離れ移住したいとの希望も増えている。

hanareの宿泊施設の室内。昔のアパートの雰囲気が生かされている

興味深いデータが二つある。一つは有楽町「ふるさと回帰支援センター」。2019年移住相談者は約5万名。中心は首都圏。20〜40代が多い。年金暮らしの不安から50〜60代も増えている。もう一つは「進化し領域を拡大する日本人の国内旅行(2019)」(JTB総合研究所)。旅行の目的が「地域の生活エリアでの交流」、「暮らすように過ごす」、「地域の産業に関わる」、「ボランティアやファンディングで支援」などへとシフトし、地方の普通にあるものの価値が上がっている。また情報として口コミや地域側からの発信が優位になっていることが統計でもでている。

今後、「まちやど協会」の新しい価値が大きく浮上するかもしれない。

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特集:

2030年住宅への設置率6割は可能か
初期費用、条件不利地域へのソリューション

国は2030年に住宅での太陽光発電の設置率6割を目標とする考えを示した。
現状の設置率は1~2割とみられ、非常に高い目標と言える。
100万円以上を必要とする「高額な初期費用」や、十分な発電効率を得るのが難しい「条件不利地域」といった課題があるなか、住宅事業者は設置率6割に向けてどのように取り組んでいけば良いのか──。
住宅太陽光発電マーケットの最前線を追う。

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