2020.7.28

規制逃れの偽装一人親方化にメス

適法の一人親方の処遇改善策など検討

国土交通省は、「建設業の一人親方問題に関する検討会」を立ち上げた。規制逃れを目的とした偽装一人親方化が進んでいることへメスを入れ、適法の一人親方の定義付け、処遇改善策など、より実効性のある対策を検討する。

一人親方の推計人数
出典:総務省労働力調査(令和元年平均)をもとに国土交通省において推計
一人親方の推計人数は、建設技能者全体の15.6%、約51万にのぼる

国土交通省では、建設技能者に対する処遇改善、法定福利費を適正に負担する企業による公平・健全な競争環境の整備といった観点から、社会保険加入対策を推進し、企業単位・技能者単位ともに保険加入率上昇が見られるなど一定の効果を上げている。

令和2年10月からは、建設企業の社会保険加入が、建設業許可・更新の要件として位置付けられるなど、社会保険加入対策をさらに強化する。

一方で、働き方改革関連法の施行により、真面目に技能者を雇用する建設企業にとっては、社会保険や割り増し賃金、有給休暇などの負担増となるため、法定福利費などの労働関係諸経費の削減を意図して、技能者の個人事業主化、いわゆる偽装一人親方化が進む懸念が出てきている。

建設業界関係者からは、「事業主に指示されて不本意に一人親方化している状況も多いのではないか」、「早急に必要な対策を講ずるべき」といった意見が多数寄せられている。

こうした実態を踏まえ、偽装一人親方化へのより実効性のある対策を検討する「建設業の一人親方問題に関する検討会」を新たに設置した。

「各職種(団体)は、偽装一人親方に対してどのような認識を持っているのか」、「偽装一人親方の現状はどうなっているのか」を把握したうえで、「偽装一人親方」、「適法な一人親方」の定義付けを行う。

また、偽装一人親方への対応として、「自らを一人親方と認識していない場合に、技能者本人にどのように認識させるべきか」、「現場での確認作業に建設キャリアアップシステムをどのように活用すべきか」、「明らかに実態が雇用形態であるにも関わらず、一人親方として仕事をさせている企業に対してどのような措置を講ずるべきか」、「偽装一人親方に対してどのような対応を図るべきか」といったことを検討。一方で、適法な一人親方に対し対する処遇改善策についても検討する。

8、9月開催の第2回検討会で、建設業界団体からヒアリングを行い、年度末の開催する第4回検討会で中間とりまとめを公表する予定。

Housing Tribune最新刊

住宅産業総合誌「ハウジング・トリビューン」は隔週金曜日発売。年間購読者には電子版News Report「Housing Tribune Weekly」を配信しています。

ハウジング・トリビューンVol.610(2020年22号)

特集:

災害広域化に備え、求められる数、速さ、居住性

近年、大規模な自然災害が相次いでいる。平成22年度から令和元年度までで半壊以上の住家被害が1000戸以上の災害は東日本大震災をはじめ13災害に上る。令和2年も熊本県などに大きな被害をもたらした「令和2年7月豪雨」が発生。死者・行方不明者80人超、家屋被害は全半壊だけで6000戸に及んだ。今年は新型コロナウイルス感染症という、これまでにない問題も発生し、これまで以上に避難生活から仮設期の暮らしへのスピーディーな移行が求められる。

応急仮設住宅は、「建設型」での対応が行われていたが、災害被害の拡大にともなってより多くの住宅が必要になったことで「みなし仮設」とよばれる「賃貸型」が導入、その活用が広がった。そして、今、注目を集めているのがトレーラーハウスやムービングハウスなどの移動式仮設住宅だ。

今後、南海トラフや首都直下などの大地震による想像を絶するほど大規模な家屋被害も予想される。それだけに仮設期の住宅供給をどうするのかを平時の今から考えなければならない。移動式仮設住宅は、プレハブや木造などの仮設住宅、民間住宅などを借り上げる「みなし住宅」に次ぐ3つ目の柱になるのか――。移動式仮設住宅の可能性を探った。

目次を見る