2020.7.22

大東建託、モデル棟併設の賃貸住宅の 展示場を都内でオープン

情報発信基地に活用、CLT工法も積極展開へ

大東建託は東京都江東区に、ショールーム機能を備えた展示棟や、賃貸住宅商品のモデル棟、最新の技術などを紹介する施設「ROOFLAG(ルーフラッグ)賃貸住宅未来展示場」をオープンした。同社は賃貸住宅の情報発信基地として新施設を活用する考えだ。


既に同社は東京本社と名古屋支店の2カ所に賃貸住宅のショールームを設置。ここではアパートの修繕コストを低く抑える仕組みなど独自の工法や、耐久性の高い資材などを展示し、住宅設備を体感することができる。今回、開業したルーフラッグもショールーム機能を持ちながら、実際の賃貸住宅商品を知ってもらおうと、タイプの異なったモデル棟を2棟設置した。常設のモデル棟としては全国で初めてという。ルーフラッグの三上琢次副館長は「賃貸住宅の技術などのハードにとどまらず、安定経営のためのサービスなどソフト面での考え方からも知ってもらい、単なる展示場ではなく賃貸住宅の情報発信基地としてのフラッグシップになるよう、この施設を育てていきたい」と強調する。

ルーフラッグはCLTを大架構の梁として使った、長辺が60mにもおよぶ三角形の大屋根が特徴的な建物だ。この三角形の大屋根は、CLTを格子状に組み、屋根面を波板ガラス、壁面をガラスカーテンウォールとして採光性に優れたデザインを採用し、ボックス型金物でCLT同士を接合している。使用するCLTは大屋根全体で約450㎥。サイズは、最大の厚さが270mm、幅は2300mm、長さ1万1800mmとなる。同社は2×4工法を軸に年間5万棟の賃貸住宅を建設する。さらに木の活用を進めようと2015年からCLT工法などの開発に取り組んでいる。昨年には、独自で開発した工法を使い、国内初の規格化・工業化されたCLTの賃貸住宅を販売。「ルーフラッグが開業し、普及に弾みが付く」(同社)と、CLT賃貸住宅の本格販売へののろしを上げたとみることができる。

「ROOFLAG(ルーフラッグ)賃貸住宅未来展示場」の外観
CLTを格子状に組んだ、三角形の大屋根

ルーフラッグ2階の展示フロアでは、大型モニターを使って、オーナーの資産形成や承継などを描く映像が流れる、未来シアターがある。ヒストリーゾーンでは創業から現在に至る企業史を紹介する。

住まいの常識を変える高品質でアレンジできる建物と、暮らしの常識を変える豊富なサービスをあわせて、自分らしい自由な暮らしを実現する同社の賃貸住宅総合ブランド「DK SELECT」や、高い入居率を維持する仲介体制や入居者サポート体制を説明。また、賃貸経営受託システムなどを分かりやすく紹介し、土地活用を考えているオーナーは同社事業への理解を深める。

1階の展示フロアは、主に建物のハード面を紹介。木造や鉄骨造など構造や工法を紹介。一般的にはまだまだ馴染みの薄いCLT工法も分かりやすく説明する。安全性能では地震や火災など災害にも強い建物性能を紹介。耐久性能は長期にわたり建物の美観も保つ高耐久資材を体感。賃貸住宅で兎角問題になりがちな「音」については、同社の遮音性能の高さを分かりやすく訴求するため、専用のブースを10台設置。ブース内部からは、階段を上る足音などが、一般の戸建住宅のケースと、同社のオリジナル部材を使ったケースで、それぞれ流され、音の違いを体験できる。

展示フロアでは事業のシステムなどを分かりやすく説明する
音の伝わり方などを体感させながら賃貸住宅の性能の高さを訴える
モデル棟でもCLTを分かりやすく説明する

賃貸住宅に関するハード、ソフト両面での同社の特徴を理解した上で、次に案内するのが2棟のモデル棟だ。

1棟が昨年2月から販売を始めた、カップルやファミリーをターゲットに置く2×4工法の2階建て賃貸住宅「POPORA(ポポラ)」。この中では、ペット共生住宅のしつらいなどを提案。通常では分かりにくい、トイレやバスルームの水回りなどもスケルトンで仕組みを分かりやすく見せている。住設機器なども標準とオプションをモデル棟にそろえ、賃貸住宅事業を始めるオーナーがイメージを持ちやすいよう工夫している。もう1棟が、オリジナルCLT工法による木造4階建て賃貸住宅「Forterb(フォルターブ)」だ。モデル棟では3階建てとなっており、2階には賃貸併用とした場合のオーナーの住まいを提案。3階では、再度CLTについて分かりやすく説明し、オーナーへの理解を深める工夫をしている。

ルーフラッグは土地活用を考えているオーナーなどに限定され、一般開放はしない。完全予約制で、新型コロナによる密回避のため、1日の予約数も限定している。同社によると、6月18日時点で39組、66人が来場。「来場後、CLTに興味を持たれる方は多い」(同社)という。

賃貸専業の同社がCLTに本腰を入れたことで、今後、CLTの賃貸住宅の提案が活発になりそうだ。