建材 |  2020.6.16

ケイミュー、通気下地屋根構法を開発

下地の耐久性を80年まで延長

ケイミューは、屋根に通気層を設けることで屋根下地の耐久性80年まで延ばすことが可能な「通気下地屋根構法」を開発した。施工動画などを準備して普及を進め、住宅の長寿命化に貢献していきたい考えだ。


ケイミューは、2020年、カラーベストの発売開始から60周年を迎えるのを機に、屋根材のトップメーカーとして、「ROOFinnovation日本の屋根を変える」をスローガンに、さらなる屋根材の高付加価値化に取り組む方針を打ちだした。

その取り組みの一環として、「通気下地屋根構法」を開発した。

屋根に通気層を設けることで、屋根材裏側に入った雨水を軒先から排出し、換気棟から湿気を速やかに排出できる機能を持たせた。また、屋根材の留め付けビスを横桟に留付けし、下葺材に貫通させないことにより雨水の浸入を防ぐ。

屋根材の葺き替え・差し替え時にも下葺材のはがれがなく、防水性の低下を防ぐ効果も期待できる。さらに、災害などによる万が一の屋根材本体の破損時にも、通気層から速やかに雨水を排出できるため、補修までの雨もれを抑制できるといったメリットも有している。

夏場は屋根裏温度を低減
冬は結露リスク低減

屋根全体の高耐久化にも貢献する。野地と屋根材の間にできる空間と屋根裏、その両方の熱気や湿気を換気棟で排出することで屋根裏の環境を快適に保つ。

通気下地屋根構法のイメージ。通気層を設けることで換気棟から湿気を速やかに排出する

屋根材を下地に直接取り付ける直張り構法を採用した屋根と、通気下地屋根構法を採用した屋根を用意して行った同社の実験では、後者の方が、屋根の空気層が、屋根裏からの熱の伝達を抑えて居住空間の心地よさを高める効果を確認。また夏場の熱上昇や冬場の結露を抑えて住宅内部が傷むことを抑制できることも確認した。

これまでのスレート屋根の標準的な工法は、約30年で下葺材や下地材の点検・交換などのメンテナンスが必要になる。

下地材を施工した後、縦桟、横桟を固定。スターター、屋根材をビスで留付け完成

対して、通気下地屋根構法では、外皮内部で空気を自然循環させて木材の劣化を抑制することにより、下地の耐久性を80年まで延ばすことを目指す。また、屋根下地の腐朽を抑えることで、下地からの飛散や、釘抜けによる屋根材の飛散のリスクが低減できる。平形スレート屋根のグランネクスト(うろこ・ヒシ・シンプル)と、同社主力のカラーベスト(セイバリーグランデグラッサ・コロニアル遮熱グラッサ・セイバリーグラッサ・コロニアルグラッサ)が対応商品となる。

同社は、施工動画を準備し、長寿命化に資する新たな構法として住宅事業者への提案を強化していく考えだ。
長寿命住宅の屋根の標準仕様に

本格的なストック時代を迎える中で、住宅業界の中でも、さらに高いレベルの長寿命住宅の実現に向けた取り組みが活発化している。国土交通省国土技術政策総合研究所は2017年6月に「木造住宅の耐久性向上に関わる建物外皮の構造・仕様とその評価に関する研究」と題した研究報告をまとめ、その成果をガイドライン「設計施工要領(案)」として公表している。ケイミューでは、この国総研の研究の主査を務めた東海大学石川廣三名誉教授に助言を受けて、今回の構通気下地屋根構法を開発。国総研の研究内容に適合している。

そのほか業界内では、(一社)住宅生産団体連合会が2019年、住生活ビジョンをまとめ、大きな柱の一つとして「日本の住宅の短命、低品質からの脱却」を掲げている。また、(一社)日本木造住宅産業協会は、資材・流通委員会の中に「資産価値のある高耐久住宅WG」を立ち上げ、2020年2月から活動を開始。屋根の通気工法なども含めて、外皮を高耐久化させる資材と工法セットの仕組みをつくり、木住協会員のビルダーなどと連携して普及を目指す。長寿命住宅の屋根の標準仕様として、屋根材のトップメーカーが開発した「通気下地屋根構法」に注目が集まりそうだ。

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