住友林業、木のトータルコーディネートサービス開始
高まる森林への関心 第1弾は資生堂の新ブランドに
住友林業は、苗木の育成から植林、木材の活用まで、ノウハウを一元化して提供するトータルコーディネートサービスを始める。第1弾として資生堂が5月に投入する新ブランドをサポートする。
SDGsやサステナビリティ(持続可能性)に関心を持つ消費者が増える中、環境配慮型の商品が数多く販売されている。資生堂もこうした動きに呼応、「樹木との共生」をテーマに新スキンケアブランド「BAUM」を5月に投入する。資生堂は、このテーマにあわせ「木を使って何かできないか」と住友林業に打診、今回の取り組みが実現した。
BAUMは、日本人が古来より大切にしてきた自然との共生や、循環資源の象徴である樹木がコンセプト。90%以上を自然由来の素材から作るだけでなく、森林資源の循環利用を、未来につなぐサステナブルな活動として取り組む。BAUMの容器材料に使う「オーク(ナラ)」の苗木を中心にBAUM店舗内で育成し、ブランドコンセプトを訴求するとともに、育てた苗木を植樹し森林資源の循環を実現。将来的には、植樹した木を商品に活用することも視野に「サステナブル」なブランドの実現を目指すという。
住友林業は2014年に「森林・緑化研究センター」を設立。これまで自治体や民間企業へ山林管理や緑化、環境保全の取り組みなどに関するサービスを提供してきた。近年、環境意識の高まりやESG投資の拡大により、森や木に関する注目が高まっている。そこで同センターでは、住友林業グループが保有する木に関する様々な知見をトータルコーディネートサービスとして提供する事業を計画。今回の資生堂との取り組みが、そのサービスの第1弾となる。
BAUMを販売する店舗は、樹木の恵みと出会う場所をコンセプトに設計。住友林業では、店内で育成する苗木や、その後の植樹のサポートなど、これまで培ってきた木に関する様々なノウハウを活用し、BAUMのブランディングをサポートする。店舗内で苗木を育成する取り組みについて、「非常に珍しい」(住友林業)という。
環境意識の高まりやESG投資の拡大により、同社は「森や木に関する注目が高まっている」と感じている。現在、他の企業との間でも、トータルコーディネートサービスの提供について話を進めており、「今後、力を入れていきたい分野だ」(同)と強調する。
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