飛島建設、住友林業、ミサワホーム LP-SoC工法の評定をBCJから取得
軟弱地盤対策で丸太の利用に弾み
飛島建設と住友林業、ミサワホームの3社で共同開発する、軟弱地盤に丸太を打設し、地盤と丸太の複合地盤で建築物を支える工法の評定を一般財団法人日本建築センター(BCJ)から取得した。
今回、評定を取得したのは「丸太打設軟弱地盤対策&カーボンストック工法(LP-SoC工法)」。3社は2018年1月に、木材による地盤補強工法「丸太単体の支持力の設計手法等」に対する評定を取得しており、今回それをさらに発展させた。LP-SoC工法を使うことで丸太の打設本数を減らせ、コスト削減が可能となる。「今後、戸建て住宅や集合住宅と共に、非住宅の建築物などにも展開し、普及を拡大したい」(飛島建設)と期待する。
現在、非住宅などの分野で木材振興が行われている。軟弱地盤対策に木材を使用するというのもその1つ。木杭による軟弱地盤対策は1950年代頃まで多く行われてきたが、その後の森林資源の枯渇などから使われなくなっていた。
軟弱地盤対策に木材を使用することで、木材を大量かつ長期的に使うことが可能に。また、炭素を地中に長期固定するため、温室効果ガスを純減させ、持続可能な社会の構築に貢献できることなどから、3社などで構成する木材活用地盤対策研究会を通じて工法の共同開発を進めている。
これまでの評定では、スウェーデン式サウンディング試験(SWS)結果に基づく丸太単体の鉛直支持力の設計手法、施工方法、現場品質管理方法が認められていた。今回の評定取得により、標準貫入試験(SPT)、およびSPTとせん断試験の組み合わせによる設計が可能となった。
それにより、地盤の評価精度が向上し、試験方法に応じて丸太の特長を生かし鉛直支持力を合理的に評価できる。また、これまで無視してきた軟弱地盤の建築物を支える力についても積極的に取り込み、地盤の不足分を丸太の鉛直支持力で補うという設計方法を確立したことで、丸太の配置を減らすことが可能に。「施工コストは、既評定による方法に比べて大幅に低減する」(飛島建設)という。
腐朽や蟻害による生物劣化を抑えるため、丸太は基本的には頭部を地表から0.5m以深の常水面以深に設置する。
LP-SoC工法は、建築物の高さ、軒高、階数や構造に関係なく、接地圧が50kN/平方メートル以下で延べ面積が3000平方メートル以下の建築物が対象。戸建て住宅や集合住宅に加え、事務所、幼稚園、高齢者施設、集会所、店舗、工場、倉庫などの非住宅物件への適用も想定している。住友林業は「コストメリットが期待できそう」とみる。
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