公共建築に地域材を使う(上)
さまざまな工夫で課題に対応(1)
利用期を迎える国産材を活用して林業の成長産業化に導くにはどのような取り組みが求められているのか。林材ライターの赤堀楠雄氏が地域で芽生える国産材活用の事例をルポする。
地域材をスムーズに調達できるか
公共建築物木材利用促進法(木促法)が2010年10月に施行されてから今年で丸10年になる。かつては都市の不燃化が政策目標に掲げられる中で、木造建築はややもすると排斥の対象にされ、公共事業においても建築分野では目立った実績を上げることなど到底かなわなかった。同法の制定でそれが一変した。
折りしも、2000年に建築基準の性能規定化が図られたことを受けて、木造や木材利用に関する規制が次々と緩和されるようになっており、それも追い風となって、公共建築に木材を積極的に利用しようという気運が各方面で高まっている。
ただ、課題もある。特に公共事業の場合は、単年度事業として計画が組まれるケースが多く、どうすれば木材をスムーズに調達できるか、多くの関係者が頭を悩ませることになる。
公共事業ということで、地元産材を優先しなければならない事情もあるし、大型物件になれば量も集めなければならない。一般的に流通している木材で間に合わせることができればまだしも、スパンを飛ばすために大きな断面の材料が必要になったり、大断面集成材やCLTなど、地元に製造業者がいない材料が求められたりといったケースも出てくる。品質を安定させるための乾燥期間も確保しなければならない。
一般的に単年度事業の公共物件では、その年の夏場にかけて設計プランの詳細が決まり、施工業者が決定するというスケジュールになることが多い。ところが、それから材料を発注したのでは、上記のような事情から「とても間に合わない!」ということになりかねない。もちろん、間に合わないでは済まないから、さまざまな工夫が講じられることになる。
大量のラミナ材を短納期で供給
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