その他 |  2020.1.7

ウッドステーション、大型パネルの普及に向けてAI自動設計などと連携

ウッドステーションは大型パネルの普及に向けて様々な戦略を展開する。工務店などで構成する大型パネルのユーザー会を発足し、在来木造の標準納まり図の共有化を進めるほか、AI自動設計サービスを開発するアーキロイドと連携を図る。


構造材、サッシ、断熱材、金物などを組み合わせた「大型パネル」を製造し、在来軸組工法住宅の高度工業化を進めるウッドステーションは2019年2月、全国をカバーする大型パネルの供給網の構築を目指し、全国のプレカット事業者などで構成する「大型パネル生産パートナー会」を発足した。さらに2020年1月、大型パネル生産パートナー会の中に、工務店などによるユーザー会「みんなの会」を新設する。大型パネルに興味を持つすべての建築事業者を対象に入会金、会費無料で会員を募集し、年3回の勉強会を通じて在来木造住宅の高度工業化を目指す。12月時点ですでに200超の会員が集まっている。

みんなの会発足の一つの目的は、会員工務店などが持つ在来軸組工法住宅の納まり図面を共有、公開することにより、より合理的な標準納まりを導き出すことだ。現在、ウッドステーションでは、木造住宅の構造躯体を工場でパネル化するにあたり、工務店などが提供する軸組図面を独自に開発した「WSPanel」という処理ソフトで読み込むことで、自動的に壁パネル図を出力できる業務フローを確立し、梁・柱、間柱、充填断熱材、壁面材、サッシ情報などまで含み一貫処理して、工場で加工・取付けが可能な精度を実現している。しかし、屋根パネル(軒先・ケラバ・棟・通気)などについては、工務店によって仕様が異なるため確認に時間がかかり、物件ごとにCADで作図しており、また、付加断熱の割付などについても仕様が確立されておらず、工務店に確認しながら作図しているのが実情で、在来木造住宅の高度工業化を進める上で、大きなネックとなっている。

こうした課題に対して、大型パネルのユーザー会会員を増やし、構造納まりの情報を共有、公開することで、大型パネルの大前提である自由設計を守りながら、標準化が進んでいない屋根納まりや外張り断熱の標準図を作っていきたい考えだ。

みんなの会事務局拡大会議には、工務店のほか建築家、建材メーカー、流通事業者などが参加した

AI自動設計で納得できる住宅購入に

ウッドステーションと大型パネル生産パートナー会、みんなの会は、AI自動設計サービスを開発するアーキロイド(東京都港区)との協働を開始し、在来木造住宅の高度工業化に向けた取り組みを加速する。アーキロイドは、慶應義塾大学SFCの松川昌平教授の研究室に所属する研究生4人が集立ち上げたベンチャーで、今も研究室に所属しながら実務との両立を目指している。みんなの会の事務局拡大会議で、アーキロイドの佐々木雅宏共同代表は、開発を進める在来軸組工法住宅のAI自動設計サービス「アーキロイド」の概要について解説した。佐々木共同代表は「『初音ミク』に代表される音声合成技術、ボーカロイドを用いることで、誰もが初音ミクの音で楽曲を制作きるように、アーキロイドを用いることで誰もが住宅設計をできるようにしたいと考えている。ウェブ上で、顧客の要望をもとに、新築住宅を即座にAIが自動設計し、価格も含めて表示するサービスを提供していくことを検討している。顧客が説得されるよりも納得して新築住宅を購入できる仕組みをつくっていきたい。将来的にはウェブサイト上にアーキロイドを公開し、無料の自動設計サービスや、VR技術で3D空間を再現し内覧できるサービスなどを提供していく。顧客は、間取りや価格、性能など様々な要素で検討比較し何度も納得いくまで試行できる」と述べた。

ではどのようにAI自動設計技術を実現するのか。アーキロイドでは、住宅設計の工程を「居室配置」、「居室開口」、「軸組・躯体」、「構法」という住宅を「生成」する段階と、「構造設計」、「法規的合成」、「構造見積もり」という住宅を「評価」する段階の2段階に分け、生成と評価をAIに反復練習させることで、住宅を自動設計する仕組みの構築を目指す。

現状では住宅設計の各工程で分業化が進み、業務を自動化することは難しい。例えば意匠、構造、プレカットといった各図面をやり取りする際にはデータを手で再入力しているのが実情で、設計変更に対応するには膨大な時間とコストがかかる。そこでアーキロイドでは、これらすべての工程を内製化し、コンピュータ上で一気通貫して住宅設計を自動化するシステムの実現を目指して開発を進めている。ただ、住宅設計を自動化するうえで、最も高いハードルとなったのは、建築家の創造性が大きく影響する間取り設計の自動化を図ることだったという。アーキロイドは、建築家の間取り設計の業務を「敷地」、「居室単位の連結」、「連結部の開口部」という要素に分解して自動で分析するアルゴリズムを開発。例えばAという建築家の間取り設計の傾向をAIが学習することで、顧客の要望に応じて、そのAという建築家風の新築住宅を即座に自動生成する仕組みを構築した。

佐々木共同代表は「いかに住宅の設計データをつくっても実際の生産現場とつながらないことがある。設計から生産まで情報連携することができれば、双方向の情報の流れが生まれ、無駄を抑制できる。住宅を設計した段階で、精度の高いデータを補足して山側に返すといったことが可能になる」とウッドステーションなどとの連携への期待を語った。

AI自動設計サービスを説明するアーキロイドの佐々木雅宏共同代表

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