ZEHの実績が27%増と急拡大
建売りは67%増、注文住宅は着工の2割に
ZEHの拡大に加速がついている。その多くを占める注文住宅は前年度比27%増、まだ全体の割合は小さいものの分譲住宅も同67%増という増加だ。
平成30年度のZEHビルダー/プランナーのZEH建築実績は、5万6307戸と前年度の4万4314戸から27.1%増と大きく増加したことが、経済産業省主催の「ネット・セロ・エネルギー・ハウス支援事業 調査発表会 2019」で明らかになった。
内訳は、注文住宅(持家)におけるZEHが3万7205戸、Nearly ZEHが1万7147戸。ZEHシリーズ全体(ZEH Orientedを除く)で5万4352戸。前年度の4万2988戸から26.4%増と大幅な増加となった。新設住宅着工戸数に占める割合も18.9%と同15.3%から3.6ポイント高まった。注文住宅のZEHは新設住宅着工の2割に達しようとしている。
また、建売住宅(分譲)はZEHが1213戸、Nearly ZEHが583戸で計1796戸と前年の1076戸から66.9%増。着工に占める割合は1.2%と全体市場に占める割合はまだまだ小さいが、建築実績は急拡大した。
一方、ほとんど実績が積みあがっていないのが既存住宅の改修。ZEHが54戸、Nearly ZEHが105戸と合計で159戸と前年の250戸から減少した。
目標達成率は65%にとどまる
注文住宅と建売住宅において大幅に増加したZEHであるが、目標数値と比べると普及拡大の速度は十分とは言えない。
国が掲げた「2030年までに新築住宅の平均でZEHを実現」という目標に向け、環境省、経済産業省、国土交通省は3省連携でさまざまな補助事業を実施している。その受け皿となる事業者がZEHビルダー/プランナーだ。
(一社)環境共創イニシアチブが登録を行っており、登録数は平成30年度末で7195社と前年の6482社から713社増加した。平成31年度に入ってからも増加を続け、10月末時点で新規登録は259社、合計7454社となっている。
ZEHビルダー/プランナーは、自社が受注する住宅のうちZEHが占める割合を目標として公表することになっており、2020年度までに50%以上という目標を掲げている。
平成30年度のZEHシリーズの目標は8万6147戸。これに対して実績戸数は5万6307戸であり、達成率は65.4%にとどまった。注文住宅は72.5%であるが、建売住宅は23.8%と4分の1に満たず、既存改修にいたっては4.3%だ。
平成30年調査の対象であるZEHビルダー/プランナーは5414社。このうち実績がゼロの事業者は62.1%と6割に及ぶことが、目標達成率を引き下げている。その一方で、目標を100%とした事業者は115社であるが、実績では232社が100%を達成しており、ZEHビルダー/プランナーは二極化しているようだ。
(一社)環境共創イニシアチブでは「2020年度に向け徐々に目標値が高まっていること」を目標未達要因の一つにあげている。
また、ZEHビルダー/プランナーによる「未達成の理由」は「顧客の予算」が抜きんでて多く、以下「顧客の理解を引き出すことができなかった」、「体制不備」と続く。
逆に「目標の達成理由」では、「ZEHメリット(経済性、快適性、健康優良)の訴求」がトップにあげられ、以下、「補助預金の活用」、「HP/チラシなどによる周知」、「完成見学会/モデルハウスによる体験」が同程度の数で続いている。
コストがアップしてもなお性能の向上が快適性や健康、またエネルギー問題解決の一助になることなど、ZEHの魅力をいかに伝えるかがZEH普及の大きな鍵となっている。
平成30年度実績の5万6307戸はZEHビルダー/プランナーの全供給戸数の22.5%。2020年度の「50%以上」という目標に向け、さらに提案を加速することが求められている。
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