2019.10.2

アキュラホーム、モデルハウスを災害時支援の施設に

電気自動車を蓄電に、日産系と協定締結

モデルハウスが災害時支援施設に―。アキュラホームは住宅展示場に設置したモデルハウスを、災害時に周辺住民へ開放し、スマホの充電に使う電力などを供給する取り組みを始めた。日産自動車などと災害協定を締結。電気自動車の“蓄電池”機能を活用し、安定した電力を確保する。埼玉県の住宅展示場を皮切りに、今後、災害時支援施設を増やしていく。住宅展示場の新たな役割として、同社の取組みに注目が集まりそうだ。


第一弾は、埼玉県久喜市のショッピングモールに併設された住宅展示場「モラージュ菖蒲ハウジングステージ」。日産自動車の電気自動車「日産リーフ」を装備した住宅「ミライの家 Rei」が災害時に支援施設に様変わりする。

「ミライの家 Rei」の装備したリーフの蓄電容量は40kWh。アキュラホームによると、携帯電話1台30分充電したとして、約6000人の充電が可能という。今回のモデルハウスのケースでは停電時に10kWを展示場運営に使用し、残りを携帯充電に使用することを想定している。搭載した太陽光パネルで創エネしながら、蓄電池にため込む流れだが、万が一、モデルハウスに装備したリーフの蓄電容量がゼロになった場合は、近隣の日産のディーラーが蓄電したリーフに交換する。このため、同社は日産自動車と販売会社の日産プリンス埼玉販売との間で災害連携協定を締結。“電源確保”の体制を整備した。

災害時支援施設にするかどうかの基準については特に設けておらず、「地域貢献の一環で行うため、住民が困っていれば落雷で地域が停電しても、携帯などの充電ができるようにする」(アキュラホーム)。

住宅展示場に設置した、日産自動車の電気自動車「日産リーフ」を装備した住宅「ミライの家 Rei」

電力供給の他には、水の供給を井戸水で確保する。アキュラホームでは、災害時の非常用水を確保する目的もあり、住宅に井戸の設置を推奨している。今回のモデルハウスには、電気を使わない手漕ぎポンプを導入しており、もしもの時のトイレ用水としての水を近隣住民に提供する。他にも災害時用備蓄品倉庫を設け、飲料水や防寒グッズ、使い捨てカイロ、トイレットペーパーなどを完備し、災害時に無料提供。一時避難所としての展示場開放やテレビによる災害情報の提供、一時帰宅困難者へのPC利用無料開放、近隣避難所マップの配布なども行う。

アキュラホームは今後、モデルハウスを設置する他の住宅展示場や支店でも災害時支援施設としての機能を持たせる考え。宮沢俊哉社長は「住宅展示場の新たな役割として取組みを広げていきたい」と意欲を示す。