2019.9.26

フクビ化学工業、高性能断熱材の訴求を加速

遮熱性のある屋根向け商品を発売

フクビ化学工業は遮熱性を付加した屋根用の高性能フェノールフォーム断熱材「フェノバボード遮熱」を発売した。新商品の販売を機に断熱材事業の一層の拡大を図る。


フクビ化学工業は屋根用断熱材の新商品を発売、断熱材事業の取り組みを加速させる。

これまで、フクビ化学工業は数十年にわたり、床下用のビーズ法ポリスチレンフォーム断熱材「フクフォーム」や、古紙を用いた環境配慮型断熱材「フクフォームECO」の販売を行ってきた。しかし、ZEH、ZEH+、HEAT20 といった住宅の高断熱化が進む中、より高性能な断熱材の必要性を感じ、今年1 月に積水化学工業から熱伝導率0.019W/(m・K) の高性能フェノールフォーム断熱材「フェノバボード」の事業を譲受。断熱材事業のさらなる拡大に取り組む考えを示した。

フェノバボード事業の譲受により、フクビ化学工業は高性能断熱材のラインナップと同時に、提案できる部位の幅も広げた。フクフォームは主に床の用途に限られたが、フェノバボードは床に加え、壁、屋根に対応可能だ。「住宅着工が減少していく中、住宅の各部位での採用を目指すことで一棟当たりの売り上げを伸ばす」考えだ。

「フェノバボード遮熱」なら、屋根の垂木高さを抑えることができ、通気層確保と断熱と遮熱を一度の施工で可能
フクビ化学工業は、今年1月に積水化学工業から熱伝導率0.019W/(m・K) の高性能フェノールフォーム断熱材「フェノバボード」の事業を譲受。画像は「フェノバボード」

屋根用断熱材に遮熱性能をプラス

こうした断熱材商品のラインナップ拡充の一環として、今回、フクビ化学工業はフェノバボードに遮熱性能を付加した屋根用断熱材「フェノバボード遮熱」を開発、販売を開始した。

フェノバボード遮熱はフェノバボード面材に遮熱機能を付加したもの。輻射熱の反射性能が高い(熱反射率約50%)アルミ粒子を使用することで、夏季の室内への熱の侵入を抑制する。また、省施工のメリットもある。通常、屋根の断熱と遮熱を行うためには、断熱材の施工に加えて遮熱シートの施工が必要になるが、「フェノバボード遮熱」なら一度の施工で可能だ。

同社では遮熱性能を付加した遮熱ルーフエアテックス(屋根用遮熱・透湿防水シート)や遮熱パネルーフU タイプ(屋根垂木間遮熱パネル)を販売しており熱反射率を高めるためのノウハウなどを新商品に活かしたという。

フェノバボード遮熱の販売開始を機に、同社はフェノバボードシリーズの訴求をさらに加速させていきたい考え。今年春に全国のビルダー、設計会社を対象に、商品と高断熱住宅のメリットなどを訴える「ZEH セミナー」を実施したが、今後も地域特性に応じた内容での実施も検討していく。

一方で、フェノバボードシリーズの非住宅市場への提案にも力を入れていきたい考え。非住宅建築物でも高断熱による省エネ化や作業環境改善などのニーズが高まっており、可能性は大きそうだ。