国産材需要が増加、動き出す森林〈下〉
利森林資源が成熟し、国産材の需要が増加、自給率も上昇基調──と、近年、国産材をめぐる情勢は確実に好転している。だが、それで林業の経営状況が改善されているかと言えば、必ずしもそうではない。
国産材のビジネス機会は増加
今、国産材に追い風が吹いていることは間違いない。では、国産材の生産量が増え、利用が進んでいることで潤っているのは誰か。
それは丸太の生産を担う伐採業者や国産材を利用する製材工場や合板工場、さらにはそれらの工場が製造した国産材製品を利用して家を建てている住宅会社、そして国産材を燃料に使用している木質バイオマス発電所などが挙げられる。彼らからすれば「潤っている」というほど利益は出ていないと反論するかもしれない。しかし、国産材利用の気運が高まっていることを受けて、ビジネス機会を得ていることは間違いない。
ところが、本来なら当然、名が挙がっていいはずの主体がこの中には含まれていない。それは誰か。森林を所有している林家である。
山の木が伐採されて販売された売上から、伐採や搬出・運搬にかかった経費を差し引いた残額が林家の手取り収入となる。それを「立木価格」あるいは「立木代金」と呼ぶ。その立木価格が以前に比べて大幅に値下がりしている。
図1は最近20年ほどのスギおよびヒノキの丸太価格と立木価格、さらには国産材生産量の推移をグラフにしたものである。これを見ると、国産材の生産量が増えているにも関わらず、丸太や立木の価格は値下がり傾向で、林家の経営環境が決して好転しているわけではないことがわかる。
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