国産材需要が増加、動き出す森林〈上〉

スギやヒノキ、カラマツといった人工林の資源が全国で増加している。多くの木が植えられてから40~50年の時を重ね、利用可能な大きさまで育ってきた。そうした資源を積極的に活用し、「林業成長産業化」を目指すのだと国もハッパをかけている。実際、国産材の生産量は近年、増え続けており、自給率も上昇基調となった。

国産材のマーケットは拡大し、日本の森林はいま、確実に動き始めている。

木材自給率は36%まで回復

最近、15年ほどで国産材をめぐる状況は一変した。

国産材の生産量は、1998年に1933万平方メートルと初めて2000万平方メートルを割り込み、2001~2004年は1600万平方メートル台という低水準で推移した。

この間、木材自給率も低迷、2000年には過去最低の18.2%まで落ち込んだ。

国産材のマーケットがここまで縮小したのは、円高で外材の競争力が高まったこと、90年代半ば以降、主に欧州材を原料とする構造用集成材が市場を席巻し、国産材製材品の市場を大幅に侵食したこと、国内の森林資源が未成熟で、安定供給ができなかったことなどが背景にある。

ところが、その後、合板の主要な原料であったロシア産カラマツの輸入量が、同国の丸太輸出関税引き上げ措置に伴って激減したこと、中国、インド、中東諸国といった新興経済新興国で木材需要が増加し、木材貿易市場で日本の地域が低下したこと、円安の進行で外材の競争力が低下したことなどから、外材の供給事情が悪化。2000年には8124万平方メートルだった外材供給量は、17年には5043万平方メートルと3000万平方メートル以上も減少した。


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