住宅壁体内の断熱材黒変色は気密不十分
ヒノキヤグループと宮城学院女子大の調査で判明
住宅壁体内の断熱材の黒変色は気密・断熱不十分の証拠——。こんなことが、ヒノキヤグループが住宅解体時の繊維系断熱材の黒変について調査依頼している宮城学院女子大学の本間義規教授の研究から分かった。
これによりグラスウールなどの繊維系断熱材は、気密性を高めるテープなどを含め正しい施工がされていないと劣化し、本来の機能が発揮できない状態になることも明らかになった。
同社は2017年9月までの1年間、計117件の住宅で、解体する際にあらわになったグラスウールやロックウールの状態調査を独自に実施。このうち、断熱材自体が施工されていなかった17件を除く、全ての住宅で断熱材にカビや湿気などの影響とされる黒い変色や45%の住宅で断熱材の垂れ下がりによる断熱欠損を確認した。
このため、建築の湿害研究に詳しい本間教授に調査を依頼。劣化要因とメカニズムについて調べていた。調査は築年数22年から44年の断熱住宅6軒を対象に、解体時の断熱材のサンプルを採取して行った。各部屋、各方位、各階から合計60サンプル以上を回収し、ほとんどで黒変を確認した。
その結果、分かったことは、まず解体住宅の構造木材の含水率は高い傾向にあることだ。柱・間柱など木部の含水率を測定したところ、木材の平衡含水率からすると比較的高い数値を示す住宅が多かった1階の構成木材の含水率が高い傾向にあった。特に床下空間が高く、繊維飽和点30%を超える48・1〜58・6%を示す住宅もあった。
また、培養分析をしたところ、44%のサンプルからカビを検出した。検出されたサンプルのカビは白色から灰白色でアレルゲンの原因にもなるコウジカビの一種やアオカビの一種。含有量は、室内塵中に近い値だった。
そして黒色の物質を蛍光X線で解析したところ、土壌由来粒子やSPM(浮遊粒子状物質)に含まれる物質が多く検出された。これにより、構造躯体内に外気が侵入し土埃や大気汚染物質が付着しているということが分かった。同社は「壁の内側に外気が流れその結果、夏熱く、冬寒い住宅になってしまっていることが推定される」とみる。黒変状況の差異は亜鉛の含有量によるものであり、文献によると大気中の亜鉛は自動車の排気ガスやタイヤ粉塵、ゴミ焼却飛灰が考えられるという。
同社は「グラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材は、気密性を高める気密テープや気流止めなどを含め正しい施工がされていないと劣化し、断熱材本来の機能を発揮しない住宅になってしまう」としている。
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