住まいの温熱環境改善で大規模推進組織
住宅業界46団体参加で取り組みに本腰
浴室暖房乾燥機の設置や断熱改修など、住空間の温熱環境を改善するリフォームの普及・拡大を図るため、住宅業界46団体が参加する大規模な推進組織が発足した。パンフレットやテキストといったツールを作成するなどし、住宅業界が一丸となり、温熱環境改善リフォームの本格普及に本腰を入れる。
日本の既存住宅の7割程度は1980年の省エネ基準以下のレベルである。特に、浴室・脱衣室・トイレ等の水まわり空間は、温熱環境上の配慮がなされていないことが一般的だ。しかし、冬季に水まわり空間が低温にさらされることで、ヒートショック等の健康上の危険が高まる。
このため、(一財)ベターリビング(以下BL・井上俊之理事長)を中心に住宅業界46団体が参加する大規模な推進組織「住宅における良好な温熱環境実現推進フォーラム(以下、推進フォーラム)」(会長:張本邦雄 TOTO代表取締役会長)が発足。これまで各団体や企業単位で実施してきた取り組みに横串を通しオール住宅業界で活動を行うことで、住空間の温熱環境改善リフォームの本格的な普及に結びつける。
7月9日に開催された第一回全体会議で「一刻も早く住宅の温熱環境の整備を進めていかなければいけない」と張本会長は意気込みを語り、BLの井上理事長は「参加団体は住宅関係の団体はほぼ網羅」と自信を見せた。
独自ツールを改定
普及啓発を加速
推進フォーラムでは、一般消費者と住宅事業者に向け、温熱環境改善リフォームの普及啓発、理解推進、スキル向上等に取り組む。例えば、昨年度にBLが策定した温熱環境改善リフォームの啓発ツール「あたたか住まいガイド」の普及を図る。同ガイドは、住宅の温熱環境が健康に与える影響を一般消費者にもわかりやすく説明したパンフレットだが、推進フォーラムではWHOが提言した「住宅の健康ガイドライン」の内容も盛り込み、今年10月頃までに推進フォーラムで改定したうえで、参加団体に配布する予定。
また、独自の調査研究や、各団体の施策の情報共有、国・地方公共団体の住宅政策等への温熱環境改善リフォーム推進の働きかけなどを行なっていく方針だ。
これまでも温熱環境改善リフォームの普及に向け、各団体ベースでは取り組みが進められ、医学的なエビデンスも蓄積されてきている。それだけに、今回、46団体が集結することで、いかに住宅業界としてまとまった普及啓発・研究の取り組みを行って行けるかに注目が集まりそうだ。
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