2019.7.16

(一社)住宅生産団体連合会 住生活ビジョンを策定

豊かな暮らしを目指し方向性を打ち出す

暮らしたい町・住まいの姿を描き、その実現に向けた取り組みをまとめたビジョンを策定した。これからの住宅・住生活のあり方はどうあるべきか、その実現のためには何が必要なのか、その方向性が示された。


(一社)住宅生産団体連合会が「住生活ビジョン Ver.2018」を策定した。人口構成の変化、経済成長の鈍化など住生活産業を取り巻く環境が大きく変化するなかで、これからの住生活産業界が取り組むべき課題と役割を明らかにするもので、住団連の「これからの大きな方向性を示した」(小田副会長)ものである。同ビジョンでは「住宅・住生活を巡る経済社会の状況と課題を、「少子・高齢化、家族形態の変化」、「経済成長の鈍化、若年層の可処分所得の低下、取得時の重い住宅課税」など9項目に整理したうえで「暮らしたいまち・すまいの姿」を描く。

「ライフステージやライフスタイルに応じて選択できる多様で良質な居住環境」、「多様な世代による活力あるコミュニティ」、「安心して暮らせるすまい・まち」、「いつまでも資産価値を失わないすまい」という4つの視点は、今後の我が国の住生活・住宅の在り方の青写真と言えるものだ。

まち・住まいのあり方を描き、目指す4つの取り組み

ビジョンでは、このようなまち・住まいの姿を実現するため、4つの「取り組みの方向性」をまとめる。それぞれに「住生活産業の取組み」と「国に期待される取組み」の2つの視点でまとめているのがポイントだ。

「資産として住み継がれる良質な住宅ストックの形成」については、短命・低品質な住宅の再生産から脱却し、既存住宅の性能・品質の向上を図る。また、住宅の基本性能と生産性を向上させる技術開発や住宅生産者の技術の向上などにも取り組むとした。

国に対しては、民間住宅投資が良質な住宅ストックの整備につながるよう、「長期優良住宅、ZEH、低炭素住宅等の住宅の質に関わる諸制度を、長期優良住宅を軸に再編整理」し、国民に分かりやすく指し示す必要性を指摘した。

また、住宅ストックの維持向上に不可欠な民間住宅投資を誘導するため、消費税の恒久的負担軽減や保有課税の見直し、流通課税の軽減などストック型社会にふさわしい住宅税制の構築を求めた。

「人生100年時代に適応した豊かな住生活の実現」については、様々な世代やライフスタイルに対応したまちづくり、住まいづくりを進める。

ライフステージなどの変化に対応可能な住宅整備やリフォーム関連技術の開発に取り組むとともに、IoTやAIなどを活用した高度な住生活サービスの提供も進めるとした。

国への期待は、流通課税の見直しなど既存住宅流通環境の整備のほか、民間事業者の自由な発想による住生活サービス産業の育成などを提言している。

「次世代の子供たちを育む住環境の整備」では、若年世帯が少ない負担で良質な住宅を確保できるよう、住宅建設コストのさらなる削減、既存住宅ストックの有効活用などに取り組むほか、住宅地におけるインフラ整備、また、子供育てしながら仕事を続けることができる環境整備などに取り組むとした。

「優れた住宅生産技術等を活かす国際展開」では、諸外国の住宅生産社団体との情報交換、諸外国での事業展開、外国人技術者に対する研修などを通じ、住生活産業の発展、また、諸外国が抱える諸問題の解決などに貢献する。

国に対しては、諸外国の不合理な法規制などに対し、合理的なものに改められるよう相手国との折衝を期待している。

住生活産業ビジョン Ver.2018の概要