パナソニック ライフソリューションズ社、住生活空間へのVR活用を本格化

「空間価値創造プラットフォーム」構築へ


パナソニック ライフソリューションズ社は、住生活空間へのVR(バーチャルリアリティ)の活用を本格化させる。住宅事業者のBIMデータとも連動させながら、VRで快適な住生活空間をシミュレーションする「空間価値創造プラットフォーム」の構築を目指す。


パナソニック ライフソリューションズ社(以下、パナソニック)はVR事業で、マンションや戸建て住宅などの住生活空間を対象とした取り組みを本格化させる。

同社は30年にわたりVRの技術開発を進めてきた。1990年代から2000年代半ばにかけて、経済産業省関連のプロジェクトで日本のVR技術開発を牽引。2000年代からは「環境計画支援VR」という名称で、主に自治体や民間のまちづくり分野でVRを活用した空間シミュレーションサービスを提供してきた。

例えば、最近では、東急電鉄が主体となって進めている渋谷駅前の再開発で、「渋谷駅前エリアマネジメント協議会」がパナソニックのVRを活用したシミュレーションサービスを導入。鉄道の乗り換え動線や、公共空間のイメージを事業者間で共有するなどの目的で活用した。

また、パナソニックなど多くの事業者が参画する「Fujisawa SST」や「Tsunashima SST」といったスマートタウン事業でもパナソニックのVRを導入している。

「再開発やまちづくりは様々な事業者が参画するため、共通のイメージを持つことが難しい。VRなら、こうした課題を解決できる」と、パナソニック ライフソリューションズ社・都市・空間VR推進課 大石智久課長は話す。

このように、これまでパナソニックは主に自治体・民間のまちづくりを対象にVRの提案を行ってきたが、今後はこれに加えて不動産デベロッパーやハウスメーカー、工務店などの住宅事業者を対象に、住宅の空間設計での活用提案にも力を入れる。「まちづくり分野で培った技術を、住宅の空間作りにも生かして行きたい」(同)。

「VIRTUAL STAGE MIERVA」は「HARUMI FLAG」のマンション販売センターで採用。3Dメガネなしでも奥行きを感じた。ただし、歪みなく最大限に臨場感を体験できるエリアが狭い点は今後の課題かもしれない

具体的には、住宅事業者が持つ住宅のBIMデータと、パナソニックの住宅建材・設備の3次元データをもとにVRの住生活空間を作成。眺望やライティング、動線などをシミュレーションし解析・評価することで、住宅事業者の住生活空間づくりに生かしてもらう。住宅事業者とこうした「空間価値創造プラットフォーム」を構築しながら、住生活空間分野でのVRの活用を広げていきたい考えだ。

また、デベロッパーやハウスメーカー・工務店などの営業ツールとしてのVRの提案にも力を入れる。

最近、ゴーグル型のVR機器を活用して、バーチャル内覧を提案する住宅事業者も出てきている。竣工後の住生活空間をリアルに体験できる、マンションギャラリーや展示場に行かなくても遠隔からVR空間のバーチャル展示場で内覧できるなどのメリットがあり、一部で導入が進んでいる。だが、ゴーグル型は家族など複数人で映像を共有できないなどの課題がある。

このため、パナソニックはスクリーン型のVR設備を提案する。すでに東京・汐留の東京本社ビルに、自社で開発したスクリーン型のVR設備「サイバードーム」を設置しているが、今回新たに「VIRTUAL STAGE MIERVA(バーチャル ステージ ミエルバ)」を開発、2020年の東京五輪・パラリンピックの選手村跡地に誕生する新しい街「HARUMI FLAG」のマンション販売センターで採用された。

既存のサイバードームは横幅・高さが約8・5mだが、VIRTUAL STAGE MIERVAは横幅5・2m・高さ2・5mに小型化、マンションの販売センターや住宅展示場にも導入しやすくした。また、サイバードームでは専用の3Dメガネをつける必要があるが、VIRTUAL STAGE MIERVAでは必要ないなど進化させている。

住生活空間分野への本格的な展開を図って行こうとしているパナソニック ̄ ̄。まちづくり分野での実績は十分であるだけに、住宅事業者が持つBIMデータや、パナソニックの住宅建材・設備の3次元データを導入した「空間価値創造プラットフォーム」も構築しながら、どのように住宅分野での事業を広げていくのか、注目が集まりそうだ。


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