【企業動向】 (一社)プレハブ建築協会住宅部会ストック分科会 提案型リフォームに対応する人材育成急げ
各社の事例共有した教本使った講習へ
「リフォームは9番打者ではない。ハウスメーカーの中軸を担うクリーンアップだ」。こう話すのは、プレハブ建築協会住宅部会住宅ストック分科会で代表幹事を務める浴野隆平氏(旭化成ホームズ広報・渉外部渉外担当顧問)。
同分科会では昨年「プレハブ住宅 リフォーム教本」を作成。独自に人材づくりに乗り出した。冊子は「第1章・ストックの時代に突入」「第2章・プレハブ住宅リフォームに求められるレベル」「第3章・職種別(営業・設計・工事)に求められるレベル」「第4章・更なるレベルアップに向けて(一般リフォーム、女性活躍)」──の4章から構成。「会員各社の経験の浅い担当者への社内研修やベテランの再確認のツールとして活用されている」(浴野氏)という。
なぜ、分科会独自で教本を作り、人材育成に本腰を入れているのか。
国が「住宅ストック」推進の旗を振る中、プレハブ住宅各社のリフォームの中心は外壁塗装などのメンテナンス型で、リフォーム分野の売り上げの多くを占める。住宅の耐用年数を伸ばす取り組みが進んだことから、外壁や防水の保証が一昔前の2 倍に伸びるなど、メンテナンス型だけでは、リフォーム市場の活性化は困難なのが実情だ。そこで各社が注視するのが提案型というわけだが、これまでメンテナンスに比重を置いていた分、提案型のノウハウなどの蓄積は十分ではない。しかも、必要に応じて行うメンテナンス型とは異なり、客の年齢や家族構成、し好など様々な要素が複雑に絡む。提案のテーマやタイミングが提案型リフォーム実施の鍵を握る中、各社は手探り状態が続く。
そこで目を付けたのが、同分科会を構成する10 社各社の提案から発生した“生きた事例”などの共有化だ。実は分科会10 社のうち、営業と設計、工事でそれぞれ担当者が分かれているのは2 社だけ。それ以外は1 人の担当者が複数を担っているという。ユーザーの目線に合った提案をするためには、営業と設計、工事それぞれのレベルが一定以上あることが求められる。教本は、こうした課題解消につなげる動きの1つとして誕生した。
2019 年度は、この教本を使った講習制度を始める考えだ。研修規模は100 人ぐらいを想定する。提案型は、生活をイメージすることから始まるといっても過言ではない。まだまだプロダクトアウトの発想が残る中で、消費者を見据えたマーケットインへの転換が急がれる。浴野氏は「マーケティングの要素が重要になる。リフォームはクリエイティブな仕事です。かかわる人たちにまず自信を持ってほしい」と強調する。
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