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2019.2.22

シックハウスと住まい【後編】

千葉大学予防医学センター 健康都市・空間デザイン学分野特任准教授 鈴木規道

シックハウス問題解消へ
化学物質の「見える化」システムが鍵

1981年5月生まれ 東京電機大学工学部建築学科卒業。 設計事務所勤務を経て、2013年に千葉大学予防医学センターに着任。2017年より特任准教授に就任。環境改善型予防医学・0次予防の視点より健康をキーワードに室内環境やまちの建造環境が人に与える影響を研究。

――近年、シックハウスに関する相談件数は増加する傾向にあることを伺いました。

シックハウスの原因とされるホルムアルデヒドに対する規制が整備されたことで、シックハウス問題は一旦収束しましたが、住宅が高気密化されてきた事や、規制物質の代替品による未規制の化学物質が原因で症状を訴える人が増えているのではないでしょうか。

シックハウス症候群の発症リスクを抑えるには、主な原因とされている化学物質の濃度が低い部屋に住むことが大前提になります。千葉大学予防医学センターでは、人が健康を意識しなくても、環境を変えることで、自然と健康になっていく「0次予防」という概念を中心にして、様々なプロジェクトを展開しています。化学物質を可能な限り削減した住宅・学校・クリニックを想定した空間を設計し、その知見を実際の街づくりに活かす「ケミレスタウンR・プロジェクト」は、まさに「0次予防」の環境改善型予防医学の実践例です。環境を改善し、化学物質の濃度を新築時から低く抑えることで、化学物質に曝されるリスクを下げ、シックハウス症候群の発症を予防できます。しかし、実際には、多くの人にとって、化学物質を可能な限り抑えた住まいを実現することは、コスト面などから考えて簡単なことではないでしょう。ハウスメーカーが、化学物質を削減した仕様の住宅を提案されていますが、シックハウス症候群の発症リスクがゼロになるとは言い切れません。新しい家具や、おもちゃなどを居室内に入れると、化学物質に曝されるリスクは高まります。さらに言えば、単純にホコリの中に入っている化学物質を吸うだけでも、シックハウス症候群になるリスクは高まります。

シックハウス対策として非常に有効なのが換気です。シックハウスが社会問題化したことを受けて2003年、建築基準法が改正され、24時間換気システムの設置が義務化されました。住宅では1時間に居室内の空気の半分を入れ替えることが求められます。しかし、実際に計画通りに換気できているのかという疑問もゼロではありません。建築確認申請を行う上で、24時間換気システムが設置され、1時間に0.5回換気をするように計算上は計画されていますが、なかには家具などで換気経路がさえぎられるケースがあります。換気計画通りに本当に空気が流れているか、すべての住宅で厳密にチェックされているわけではありません。実際には、計画通りに換気されておらず、化学物質が室内にこもり、シックハウス症候群を引き起こすリスクが潜んでいるかもしれません。

シックハウスを考えるうえで、乳幼児を含め子供への影響の大きさも忘れてはいけません。大人に比べて、子供の鼻や口の高さは低いため、床に散らばっているホコリやダニなどを吸い込むリスクは高まります。また、床材からも化学物質は放出されています。室内で吸う空気の量は、大人に比べて子供の方が少ないのですが、体重1kgあたりで比較すると子供の方が約2倍近くの化学物質を取り込んでいると言われています。子供が誕生して、手狭になった住まいから新築の住宅に引っ越して新生活を始めることなどよくあることですが、新築住宅は相対的に化学物質の濃度が高い状態にあります。とくに子供にとってリスクは大きい。こまめに換気することを推奨します。

――そのほかにどのような対策が有効なのでしょうか。

まずは、化学物質に対する正しい知識を得る事が重要です。よく天然の素材なので食べることも出来、安全です。との文言を目にしますが、一部間違いです。食べられるという事は、腐る可能性もあります。リラックスすると言われる木のにおいも化学物質によるものです。人によっては健康に害が出る場合があります。このように正しい知識を得ることがシックハウス症候群を予防する第一歩になると言えます。

次に、化学物質を「見える化」するシステムがシックハウス問題の解消に向け糸口になるのではないかと考えています。化学物質の濃度を正確に把握しようとすると、部屋の空気をサンプリングし、精密な機器で分析する作業が必要です。専門機関に委託する事になりますが、これらの一連の作業を行うには専門知識は当然の事、費用面の負担も大きく、一個人で実施するには少しハードルが高いと言えます。すでに室内の化学物質の濃度を簡易でリアルタイムに測定できる機器も開発・販売されていますが、「個別の化学物質の濃度を測定できない」「測定の精度が悪い」ことなどが課題でした。

こうした中で、我々の研究チームでは、測定の精度を落とさず、リアルタイムに、かつ同時に複数の化学物質の成分を分析できる装置の開発を進めています。2020年までにはプロトタイプを具体化できる見込みです。化学物質を「見える化」し、化学物質の濃度が高くなるとアラームが鳴るといった機能を付加することで、住まい手自ら、すぐに換気するといった対策が取りやすくなります。空調メーカーと連携して、化学物質の濃度に応じて、自動換気するシステムを開発することも可能になるかもしれません。今の技術を活用すればこうしたシステムを実現することは難しくなくなっています。

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特集:

2030年住宅への設置率6割は可能か
初期費用、条件不利地域へのソリューション

国は2030年に住宅での太陽光発電の設置率6割を目標とする考えを示した。
現状の設置率は1~2割とみられ、非常に高い目標と言える。
100万円以上を必要とする「高額な初期費用」や、十分な発電効率を得るのが難しい「条件不利地域」といった課題があるなか、住宅事業者は設置率6割に向けてどのように取り組んでいけば良いのか──。
住宅太陽光発電マーケットの最前線を追う。

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