その他 |  2018.10.19

日本ERI BIM対応へ体制強化

建築確認の業務効率を向上

確認検査や住宅性能評価大手の日本ERIは、BIM対応体制を強化する目的で2017年、BIM推進センターを立ち上げた。建築事業者側から高まる要望に応え、BIMデータを活用した建築確認の普及を目指すとともに、ノウハウを蓄積し、業務効率化につなげていきたい考えだ。

建築確認にもBIMデータ活用を高まる事業者からの要請

BIM(ビルディング インフォメーション モデリング)とは、コンピューター上に作成した建物の3次元モデルのなかに、建築材料・部材の仕様・性能、さらに仕上げ、コスト、プロジェクト管理情報などの様々な属性データを追加した建物の統合データベース。

BIMを活用することで、設計者、施工者、発注者など、建築プロジェクトに携わる関係者が、設計、施工から維持管理まで建物のライフサイクルのあらゆる工程で建物情報を共有し活用できるというメリットをもたらす。

結果として、関係者間の意思疎通を円滑化し、建築設計の生産性を向上させる効果などが期待できる。

職人不足問題が深刻化する中で、先進的な建築・住宅事業者ほど、建築物のライフサイクル全体に及ぶあらゆる工程でBIM活用を本格化させ、より高いレベルへと建築行為の合理化を図ろうという取り組みを活発化させている。

こうした中で、国内の建築物全体の約12%の建築確認業務を担う日本ERIにも、BIM導入を進める建築・住宅事業者などから「BIMデータを活用して建築確認の業務も効率化できないか」といった要請が高まっていた。

平面、立面図間の不整合を解消
建築確認業務の効率化に寄与

そこで同社は2015年からBIM対応の取り組みを開始し、2017年にはBIM推進センターを立ち上げた。専任の関戸有里センター長のほか、意匠設計、省エネ適判、住宅性能評価などの業務に携わる15人が兼務する形で、BIM活用のあらゆる可能性を模索し、検証する取り組みを進めている。

関戸センター長は「従来のように紙面上に図面を描いていると、平面図を直すと立面図も直さなくてはならず、図面間で不整合が発生しやすく、建築確認業務にも非常に時間がかかる。一方、BIMに対応すると、3次元モデルの中に様々な情報が入っているため、平面図を直せば、全部の図面を連動して直すことができ、図面間での不整合発生を抑制できる。建築確認業務の省力化にも寄与する」と話す。

3つのBIMソフトで確認済証を交付 実績も着々

BIMデータを活用した確認申請交付の実績も着実に積み重ねている。

建築・住宅事業者と日本ERI間で、

BIMデータを活用して、質疑、回答などをクラウド上で行う電子申請受付という手続きなどを踏み、確認済証を交付する。2018年6月~8月の期間に、RC造の戸建て住宅や、延床面積5000平方mのホテル、共同住宅の3つの案件で確認済証交付に至った。

1つ目の物件は建築設計事務所のアーネストアーキテクツが手がけたRC造戸建て住宅。

グラフィソフト社のBIMソフトである「アーキCAD」を用いて描いた3次元モデルのデータをもとに、日本ERIが3次元モデルを検証するためのBIMビューアー「BIMx」を用いて建築確認を行い、2018年6月、電子申請により確認済証を交付した。

2つ目の案件は、大和ハウス工業が設計・施工するホテル(延床面積5000平方m)。

オートデスク社が提供するBIMソフト「Revit」を使用して変換したBIMデータを活用して建築確認を実施し、2018年7月、確認済証交付に至った。

3つ目の案件は、スターツグループが手がける共同住宅。

福井コンピュータアーキテクトが開発したBIMソフトウェア「GLOOBE」を用いて描いた3次元モデルのデータを活用して建築確認を行い、2018年8月、確認済証を交付した。

BIMに対応すると、平面図を直せば、全部の図面を連動して直すことができ、図面間での不整合発生を抑制できる

BIM活用建築確認の課題解決へ検討委員会を発足

こうした知見を活かし、2018年9月には、日本ERIと(一財)日本建築センターなどが中心となり、BIMを活用した建築確認の課題解決のための検討委員会を発足させた。

委員会は、委員長に松村秀一・東京大学大学院教授、委員に学識経験者、国立研究開発法人建築研究所、指定確認検査機関で構成、オブザーバーとして国土交通省などが参加する予定。

事務局を日本ERIと(一財)日本建築センターが務める。

2018年度に、確認申請用テンプレート、確認申請用テンプレート作成に必要な属性情報を定めるためのガイドライン、BIMを活用した建築確認の継続的運用やさらなる円滑化方策などの検討を行う。

2019年度に、BIMを活用した建築確認の継続的運用、さらなる円滑化の課題解決、国際協調などのため、産学官の関係機関と団体により構成する推進会議を設立し所要の活動を行う方針だ。

関戸センター長は「BIMの普及とともに、BIMデータを活用した建築確認の需要も高まっていくのは必然の流れ。当社の対応力を強化するとともに、検討委員会などの活動を通じてBIM利用のガイドラインの策定など環境整備にも積極的に携わり、関係者の業務の効率化に寄与していきたい」と話す。

BIMビューアー「BIMx」を活用して建築確認を行うフローの一例

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