2018.10.3

積水ハウス 長期ビジョンで「プラットフォームハウス構想」

安心・快適の次のフェーズへ

積水ハウスは2020年以降を見据えた長期ビジョンを示した。IoT技術も導入しながら、安心・快適の次のフェーズである“幸せ”を実現する「プラットフォームハウス」を構想。海外では戸建注文住宅の供給、賃貸住宅の供給・管理を検討する。また、ESG経営にも力を入れ、リーディングカンパニーを目指す。

積水ハウスでは2019年を最終年度とする第4次中期経営計画の折り返し地点を迎えた。そして、今回、その先の2020年以降を見据えた長期ビジョンについて発表。同社の住宅事業の大きな方向性が明らかになった。

「今後は安全・安心、快適性のその次のフェーズである“幸せ” の提供に向けて取り組む」と話す仲井嘉浩社長

長期ビジョンは大きく「コア事業」、「国際事業」、「ESG(Environment、Social、Governance)経営」の観点からなる。「コア事業」の国内住宅分野については、安全・安心、快適性の提供に力を置いてきたが、今後はその次のフェーズである“幸せ” の提供に向けて取り組む。今年8月には、そのために「住生活研究所」を設立。健康、つながり、学びを通じて幸せに暮らせる家「プラットフォームハウス」の実現に向けた研究を行う。IoT機器やセンサーを設置し住環境・住生活データを取得しながら、科学的に幸せな家の実現に向けて取り組む。例えば寝室にIoT機器やセンサーを設置することで就寝中に居住者の心身の状態を把握。個人に合わせた室内空気環境を提供したり、健康状態に合わせた食事の献立を提案する。積水ハウスでは、健康の切り口から、プラットフォームハウスの第一弾を来年1月に発表する予定だ。

国際事業の今後の方針

海外で戸建注文・賃貸事業もESG経営のリーディングカンパニーに

「国際事業」については、事業領域の拡大を図る。現在は現地の住宅事業者と連携した開発型の住宅事業に偏っている。だが、長期的には、国内事業のノウハウを生かし戸建注文住宅の供給、賃貸住宅の供給・管理も強化していきたい考え。

ESG経営」に関しては、リーディングカンパニーと認められるように取り組みを強化していく。具体的には、ZEH、RE100、ダイバーシティなどの施策を推進。このうちRE100は、再生可能エネルギー100%を目標に掲げる世界の主要企業が加盟する国際イニシアチブのことで、加盟企業は、事業活動で使用するエネルギーを100%再生可能エネルギーにすることを目指している。積水ハウスは「2040年までに事業活動で消費する電力の100%を再生可能エネルギーにする」と宣言している。2019年から太陽光発電の余剰電力の固定価格買取り契約が終了する人が多く出てくる。積水ハウスのOB顧客についても毎年多くの人の契約が終了する見込み。このため、同社がその電力を買い取ることで、事業用電力での100%再生可能エネルギーを実現させたい考えだ。

IoT住宅、海外での戸建て・賃貸の供給、ESG経営——。まだ住宅業界ではフロンティアの領域なだけに、積水ハウスがどのように開拓していくかに注目が集まりそうだ。