クリナップ 販売から35年の「クリンレディ」を一新
起死回生狙う新システムキッチン「ステディア」
クリナップはシステムキッチン「クリンレディ」を一新し後継商品として「STEDIA(ステディア)」の販売を開始した。ステンレスキッチンの高い機能性は確保しつつデザイン性の向上を図った。クリンレディの2割増の販売を目指す起死回生の商品だ。
クリナップは主力製品であるクリンレディを一新し、後継商品として新たにステディアの販売を開始した。クリンレディの受注は11月に終了する。
ステディアは、クリンレディの高い機能性は確保しつつLDK空間になじむようデザイン性を向上させたシステムキッチン。
クリンレディに搭載されている清掃性に配慮した独自のシンク「流レールシンク」や、足元のデッドスペースを有効活用した収納「フロアコンテナ」などの高い機能はそのまま引き継ぎながら、新たに消費者のライフスタイルやトレンドに合わせてデザイン性を向上。多様化するニーズに応えてカラーバリエーションも豊富に揃えた。
作り上げた空間を邪魔しない 暮らしに調和するデザイン性
クリンレディから大きく変わった点がデザインだ。インテリアのトレンドが多様化するなか、ステディアではテーマに「大人インテリア」を掲げた。自分好みの居心地の良い空間を壊すことなくインテリアに調和するデザインを追及。製品単体だけでなくステディアと空間との調和を意識したプラン提案も行っている。
たとえばホームページではLDK空間との調和を意識したプラン「カフェスタイルプラン」を提案。ワークトップ下にはオープンな棚を設置し、自分好みの小物や食器などを飾ることで自分らしさを演出できるようにしている。さらに「カフェスタイル収納」としてリビングダイニングとの調和を意識した収納も提案。お気に入りの空間を生み出し、暮らしを楽しむための趣向を凝らした。
扉面材には素材感を生かすラスティック風や北欧テイストのノルディック風に加え、クラシカルな雰囲気を演出する木目框扉「ルサックシリーズ」、アンティークでフレンチレトロな塗装框扉「ブロカントシリーズ」など、5種類計38色を揃えた。
ワークトップには従来のステンレスに加えて自社製アクリル系人工大理石のアクリストンを用意しているほか、ナチュラルな色合いと大きな流れ模様が特徴のコーリアンワークトップも新たにラインナップしている。アクリストンのワークトップには、同社の人工大理石成型技術で動物の足跡をあしらったデザインや、伝統的な北欧柄をモチーフにしたデザインを施すことも可能。素材・柄合わせて16種のバリエーションを用意している。取手のデザインもネコアシアンティークやアーチシルバーなど豊富に揃えている。
流レールシンクにも人工大理石アクリストンを使用している。ホワイトやベージュ、ブルーグレーなどインテリアに馴染む5色をラインナップし、多様化するユーザーニーズや空間づくりに応える。
中高級市場でのシェアアップで売り上げ増加を狙う
クリンレディは中高級価格帯製品として1983年に販売を開始、累計販売台数165万台という主力製品であった。施工を簡素化したことが特徴で、流し、作業台、コンロを一体化したシステムキッチンのフロンティアとして国内での普及に一役買った。
しかし近年、キッチン市場では価格の高い高級品や低価格な普及品に売れ筋が二極化する傾向にあり、クリンレディなどの中高級品は苦戦。クリナップの2018年3月期の売上高は前期より62億7千万円ダウンの1073億9千万円で、システムキッチンの売上高も50億円減らした。
システムキッチン全体の市場をみると、高級品は前年比107%、中級品は前年比101%、普及品は前年比106%で、このうち中級品は一昨年は110%であった。未だに市場の需要が高いのは普及品だが、同社では中級品の伸びも比較的堅調だとみて、中高級価格帯製品の販売を伸ばしていきたい考えだ。
人気ブランドを無くすことについて竹内宏代表取締役は「名前を変えることに対しては、お客様や社員から疑問や不安の声が上がったのも事実。しかし、クリナップが70周年を迎えるにあたって、もう一度新たな気持ちで頑張ろう、この商品に社運をかけてやっていこうという思いで決断した」と話す。
8月からは女優の松たか子さんを起用したテレビCMを開始するなどPRを強化している。10月下旬までは全国のショールームでデビューフェアを行うなどまずは認知度を高めていく。
同社は2018~2020年の3カ年の中期経営計画で「中高級市場でのシェアアップ」を掲げている。クリンレディの一新を機に業績回復へ一層注力し、クリンレディの2割増しの売り上げを目指す。名門クリナップ、起死回生の商品の行方に注目が集まる。
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