ウッドステーション、大型パネル生産パートナー会を発足 プレカットメーカーと提携し供給体制を強化
生産設備を無償貸与
大型パネルによる在来木造の工業化を推進するウッドステーション(塩地博文代表取締役社長・千葉県千葉市)は、大型パネル生産パートナー会の説明会を開催した。全国の100社ほどのプレカット工場などと提携し、大型パネルの製造ノウハウや設備などを無償で提供することで、大型パネル供給エリアの拡大を図っていきたい考えだ。
ウッドステーションは、在来木造の受託加工事業を展開する新会社として2018年5月に立ち上がった。
大工不足が深刻化する中で、オープン工法として大型パネルを活用した在来木造の普及を図り、ビルダーなどの工業化を下支えする新たなビジネスモデルの創出に挑む。
大型パネルとは、住宅用資材として一般流通している柱や梁、耐力面材、断熱材、サッシ、金物、防水シートなどを一体化したもの。受託加工という形で、ビルダーなどから受けた住宅の設計図通りに、工場で大型パネルを製造し、大型トラックで大型パネルを現場に搬入し、重機で吊り上げ組み立てる。2階建住宅であれば1日で上棟、サッシ、断熱、防水工事及び防犯対策まで完了することが可能で大幅な工期短縮とコスト削減に寄与する。
これまでの大型パネルの受託加工事業では、資本参加する、大手プレハブメーカーの木質パネルを製造するテクノエフアンドシーが全国5拠点の工場(北海道、群馬県、愛知県、岡山県、福岡県)で大型パネルの生産を担ってきたが、全国への大型パネルの供給体制の拡充を図ることを目的に、大型パネル生産パートナー会を発足させた。
大型パネルの生産拠点から建設現場が離れてしまうほど、物流コストが上昇し、いくら工業化により住宅建築の合理化を図っても、トータルでの価格競争力を失ってしまう。
ウッドステーションによると、これまでに大型パネル事業で蓄積したノウハウから、生産拠点から70~100kmが、ビジネスが成立する圏内だという。そこで、全国のプレカット工場などと連携し、全国の100社ほどのプレカット工場と提携し、全国的な大型パネル生産ネットワークの早期構築を目指す。
生産パートナー会に参加するプレカット工場などにとっては、プレカット材に加えて、サッシや断熱材までも組み込んだ大型パネルの扱いが可能になることで、1棟当たりの受注額の増加が期待できる。
様々な支援策を用意
加工ミスなどに対応した補償も検討
ウッドステーションは8月22日、千葉県千葉市で大型パネル生産パートナー会の説明会を開催。約30 社のプレカット工場や、2×4コンポーネントメーカーなどが参加した。
ウッドステーションでは、生産パートナー会に参加するプレカット工場に対して、大型パネルの生産だけでなく、設計情報処理や、営業の役割も担ってもらいたい考え。そのために、ウッドステーションでは、生産パートナー会に参加するプレカット工場がよりスムーズに大型パネルを取り扱えるように、様々な形で支援策を提供する。
例えば、ウッドステーションのスタッフなどが同行し営業を支援するほか、大型パネル専用の営業ツールを用意した。
また、ウッドステーションでは、すべてのCADに対応した大型パネル作図ソフト「WSPanel」を開発。プレカット伏図、軸組図、意匠図から、大型パネルの生産工場向けの制作図面を短時間に簡単に作成できる機能を持たせた。このWSPanelを無償で提供する。
さらに、テクノエフアンドシーが技術指導を行う形で、大型パネルの生産、運送、建設のノウハウを伝授する体制も整備した。
加えて、大型パネルを採用する地域ビルダーを10社以上確保し、月間5棟以上の受注を受けられるような体制をプレカット工場などが整備すれば、大型パネルの生産設備を無償で貸与する。「作業台、クレーン、ラックを準備すれば、直ちに大型パネルの生産が可能となるため、設備投資は極めて小さい。また、一般流通材を使用するオープン工法であるため、特殊な技能・技術は必要ない。プレカットライン作業者やCADオペレーターが兼務して生産できる」(ウッドステーション)。
そのほか、万が一の生産時の加工ミスや運送時の損傷などに対応した補償バックアップ体制の整備も検討している。
ウッドステーションの塩地社長は、「生産ラインを導入することが生産パートナー会への加盟の前提ではなく、大型パネルの営業や、設計情報の処理など、様々な形でパートナーとしての役割を担ってもらえる。参加するすべての方々の自発的な行動によって運営される組織を目指していきたい」と述べた。
今後、9月19日(満席)、10月24日にも大型パネルパートナー会の説明会を開催し、木材加工に関連するあらゆる事業者を対象にして参加企業を募りたい考えだ。
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